2019年07月16日

ニュータイプ1988年11月号&その他。

だらだら活動してたら、ヤフオク等で張り込みをしていたブツを続けざまに入手する時期があったりするんですが、正にその時だったのであれやこれやを。
まずぬーたいぷ1988年11月号です。実はこの間のアニメディアと同様、既に入手して記事もチェックしていると思い込んでいた分です。アニメディアはヴィナス戦記が紛らわしかったのですが、ぬーたいぷは当時アニメージュで話題になりはじめていたガンダム0079のクリスが紛らわしかったのでした。

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菊池氏によるリョウとアニスのイラスト。リョウは画集のアレンジの方がずっと良いですね。キャプションの仰々しさがちょっと鬱陶しい反面(ダストジードは複眼かいと思ってしまふ)、リョウに限らずどのキャラもこういうネガな面はほとんど描かれなかったなあと。そこがボーグマンの魅力でもあったんですが、スタッフがちょっと敬遠しすぎた感はあります。脚本回の作風からして、会川氏はやりたかったんでしょうけど。
つか、割と初期の特集とか編集者はリョウ×モーリー推しだった疑惑。アニス人気のせいでりょあにに関しては慎重になってた可能性もありますけど。シリーズ構成者様のネガキャンもお盛んでしたしねえ。
なんというか、園田氏も(アニス欲しさに)そっちをゴリ押しした可能性がありますけど、安易にリョウにモーリー選ばせるなっちゅーハナシ。りょあに云々ではなく、リョウの教師としての矜持がかかるデリケートな部分だと思うんですよ。まあロム兄さんが実はずっとレイナに恋情を抱いてました! とかキャラの内面に上がり込んで土足で歩き散らかす後付けやっちゃう御仁だったので、根岸監督が動いてなかったら平気でやらかしてたかもにゃー。

アニスは画集で全部描き直しとなっており、このぬーたいぷでしか見れないイラストとなっております。控えめに申し上げてもこっちのが断然可愛い。何でヘアメイクしながら怒ってるのか謎のシチュですけど。菊池氏はたまに思いつきだけで描き上げて、そのまま中山久美子さんに渡したのではと思うようなイラストがありましたよね。当時の売れっ子ぶりを思うと致し方ないですが。
記事のテキスト部分は読まなくても問題ないのでカットしました。当時のぬーたいぷらしいと云えばその通りかも知れませんが、心の狭いワタクシ、どうしたらこんな軽薄な文章が書けたのかとイラっとしてしまう。担当者はダストジードが贔屓だったことは窺えるだけで、基本菊池氏とキャッキャウフフな打ち合わせして受け取ったイラストを見てニヨニヨするだけのお仕事で、作品には特に愛情もなかったんでしょうなあ。ファントムスワットでのやらかしについてはどう考えてたのかしら。ファントムスワットの設定が変更され本編に影響を及ぼしたことを考えると、ぬーたいぷも自粛してないとおかしい事案だったと思うんですが。
11月号の時点でOAV制作決定のアナウンスが成されてますが、「根岸監督の独自の世界」とあり、おそらくこの時点で園田氏の不参加(菊池氏も?)は決まってたんじゃないでしょうか。ラストバトルの情報もだいぶ集まってきたので、ぼちぼち整理して盛大ぼやきたい。30周年ですからヽ(´ー`)ノ

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2色刷りの情報ページより。ぬーたいぷは最終回関連の情報はかなり持ってた様子。アニメディアも最終回直前特集はやってましたが、たぶん他誌優先されてロクな情報が回ってこなかったんだろうなあ…と思うぐらいに中身のない内容だったので、いまだにここで採り上げてません。大畑氏のダストジードのスケッチ、34話で使われたアイディアだったっけ(ウロ)。
ボーグマンでいちばんいい仕事したのは大畑氏だと思うんですが、誰もそこに触れて再評価しないのは残念。菊池氏は確かにボーグマンで絶対的なビジュアルイメージを確立しましたけど、トータルの貢献度では疑問が残る部分もあるので…ここは上手く説明できないですスミマセン。

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ビデオリリースデータページより。今となっては貴重な高河ゆん御大のボーグマンカット。
この時点では菊池氏に源氏OAVのキャラデをオファーするとは作者本人も思ってなかったことでしょう。その源氏はキャスティングで菊池氏とがゆんが揉めたと小耳に挟んだんですが真相はどうなのか。菊池氏が主人公は佐々木氏以外でとかそんな特級の地雷を進言したとか?(適当)
ちなみにわたし、がゆんもCLAMPも女豹様も洗礼受けてません。あの頃はやおい大の苦手だったし…(遠い目)。

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DO-PE1991年夏の号。レモンピープルの増刊号で、ガチな18禁ネタありのOUTもしくはふぁんろーどと云ったら察していただけるでしょうか。ものすごくカオスなサブカルチャー雑誌です。2年ぐらい前でしょうか、フォロワーさんに教えてもらった記事目当てでずっとネットで張り込んでいたブツです。

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これなんですけどね、画像が思ってたより小さかったので解像度粗いです。以前ここでも紹介してましたっけ? なリョウとアニスのフルスクラッチ。海洋堂主催の(審査アリの)アマチュア模型展示会で出品されたものらしく、たぶんワンオフの完成品だと思います。もうめっちゃ実物見たくて辛いですけど!(ゴロンゴロン)リョウの私服完成品なんてこれっきりで、当時のワンフェスでも発表されなかったんじゃないかと思うので。

どうもこのDO-PEの編集中に、宮崎事件の影響でコミケットが幕張を追い出される騒動そして同人誌やマンガにおけるエロ表現の弾圧が起こったらしく、それに関するコラムにページを割いてます。ボーグマンとまったく関係のない長文になりそうなんで言及はしませんが、コミケは結局修正チェックの強化で凌いで晴海に戻って、その後有明に移ったんでしたっけ? 当時バブル期でイベント目白押しだった幕張からすれば、宮崎予備軍のキモオタ連中に会場使わせる義理はねえしということだったんでしょうけど、バブル崩壊後に使ってもいいのよ? しても既にコミケは有明で定着してしまい、これまた袖にした赤ブーに拾われるという顛末は正直ざまあみろでしたね。まあ二次裏で聞きかじったハナシですけど。
それはそうとなかなか面白い雑誌なので、可能ならバックナンバー集めてみたいですね。

ちょう余談ですが、「いまだから語れる80年代アニメ秘話〜スーパーロボットの時代〜」を寝る前に気が向いたらちびりちびり読んでるんですが、スーパーロボットなのにボーグマンの話題もチラホラあったりと、当時の葦プロアニメやAIC作品の裏事情が窺える実に興味深い1冊です。しみじみ、金田氏は偉大なアニメーターだったんですね…。
ボーグマンに関してはまた何かの話題と混ぜて採り上げることもあるかと思いますが、なんと云うか葦プロがそんなんだったのなら、そらボーグマンがああいう雑な仕上げの作品になったのもしょうがないとしか。それはさておき、菊池氏はゼオライマー関連で平野監督と対談しておられ、氏のゼオライマー描き下ろしイラストも収録されてるのですが世の中には知らなくていいこともあると心底思いました。「変化」を求める姿勢を否定する気はないし素晴らしいことだと思いますけど、それにしたってほどっちゅーモンがあると思います(しどい)。
posted by はらよしかず at 19:22| ボーグマン

2019年07月05日

【会川氏】ぬーたいぷ1988年9月号【寄稿】

ボーグマンの版権イラストの中でもトップクラスの認知度を誇る、女性キャラのドスケベ水着が掲載されているぬーたいぷ1988年9月号ですが、ソレが有名すぎたせいか、同号に載っているのにあまり知られていなさそうな会川氏のコラムを紹介します。本当は他のネタをやるつもりでぬーたいぷの山を崩したのですが、それを読み返したら採り上げたくなったので。
13話は会川氏をはじめ関わったスタッフが多数コメントを残されており、それらを含めて語りたいと思っているせいで延々と後回しにしております。今回のコラムも、その際に出そうと思って手を付けなかったのですが、13話そのものではなく13話に至るまでのスタッフの“迷走”が窺える部分の考察ということで。

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ぶっちゃけ、ここ最近園田氏のやらかしばかりを採り上げていたせいで、会川氏のこの文章に癒しすら覚えました。如何に作品とまともに向き合って語るスタッフがいなかったのかというハナシですけど。(一番脚本を手掛けていたはずの)岸間氏が裏方に徹したのがもったいない。会川氏はもしかしたら、このままではボーグマンは駄作に終わってしまうという危機感があり、だから早く13話のような物語の核心に触れるエピをやりましょう、と主張しておられたのかと勘繰ってしまう内容ですよね。そういう危機感を抱かせる現場だったのかと。

会川氏は前半でリョウたちの過去もダストジードとメモリーの因縁もさほど重要ではない、と語られてますが、実際は16話等、キャラの肉付けに必要な要素としてこだわってるんですよね。主題に関わる要素ではないということでしょう。ただ、メモリーとメッシュの因縁は、「メモリーの視点」ありきで作品を構築していたはずの根岸監督的には重要だったんじゃないかしら。
実際会川氏は他のスタッフほどにはメモリーを重視しておらず、23話でやっとメモリーを掘り下げ始めた印象。16話なんて回想にしか出てこなかったぐらいし。先ずはボーグマン3人からという意図があったのかも知れませんが。

「自分たちの敷いた設定に目を奪われていた」は、正に1クール目の最大に駄目だった部分でしょう。とはいえ、岸間脚本回は尻上がりに良くなっていったと思うんですけどね。12話とか。暗に園田氏のことを云ってるんじゃないかと思えるんですが、たぶん間違ってないと思います。以降も園田氏は「自分が(独断で)敷いた設定」に固執していきますし。特にアニス関連。
LD-BOXのインタビューでも触れておられましたが、当時会川氏は若さも手伝って、相当に園田氏に反発したのかも知れず。根岸監督と園田氏が「ボーグマンの世界観のビジョン」をなかなか明確にしないことを歯がゆく思っておられたんでしょうか。いや勝手な想像ですけど。
というか、園田氏は逆に当初から各キャラクター(特にボーグマン3人)にこだわり、世界観の構築にはあまり目を向けなかった気がするんですが。だから妖魔の設定もゆるゆるガバガバになったんじゃないのん。設定は夏目想太郎前提の旧設定を域を出てないし風呂敷も広げたまま放置してるしでどうしていくつもりなんですかコレ、ということだったのかしらね。
しかしアレですな、会川氏のこの文章からすると、相当にシリーズ構成にも何かしら進言したのではと思えるんですが穿ちすぎかしら。早い時期から13話のプロット(リョウたちの過去とダストジードの掘り下げ))を押していたそうですし。話が動くここぞというエピは自分が手掛けたい、という思いがあったのでしょうか。
最後のカタストロフィ云々は27話のことなのか、それとも打ち切り決定前に構想していたプロットで、結局変更もしくはボツになってしまったのか。28話が園田氏のアニスへの下心ありきなエピでなければ、27話はもっと存在感のある話になったと思うんですけどね。ラストのあの絶望交じりの盛り上がりは何だったのかと思う位には、28話はいろいろ台無しにしちゃってるし。

会川氏が想定していた「これから」が、結局やっぱり消化不良となってしまったのが非常に残念に思える文章です。13話レベルの高クオリティの熱い話をシナリオ面でも作画・演出面でもできなかった(さすがに最終回は別格ですが)。ただ、会川氏が園田氏がその後もおろそかにし続けた要素を重視するシナリオを出していったことは、ボーグマンにとって救いになったと思います。岸間氏も23話とか、神が降りてきたのかと思う良エピソード出すことがありましたしねえ。会川氏もまた根岸監督と同様、園田氏と相性の悪いスタッフだったのかも知れません。
根岸監督の要請で参加したスタッフのみで制作されていたら…と考えなくもありませんが、そうなると今在るボーグマンがまったくの別物になってそうだったのが痛し痒し。そういう意味で、園田氏は本当に厄介な御仁です。

こっからちょっと追記っぽい雑談ですが、園田脚本のレベルが低いと云ってる訳ではないです。ただ、会川氏の13話、岸間氏の22話のような突出した脚本回がなく、可もなく不可もなくで終始しちゃった感。世間的に園田脚本の決定版は28話だと思うんですが、今までさんざん批判してきた部分から、個人的に良回と云うのは抵抗があります。池田作監と安東演出によるコーティングで良回に見えるだけで、脚本家様は「アニスをリョウとくっつけるなんてやだやだ! レイナみたいにアニスをぼっくんのプロデュースで売り出すんだい!」と主張しまくってみっともない、とつい思っちゃうので。

それとついったでちろっと呟いてる最中にふと考えたことなんですが、ボーグマンは本来4クールの予定が打ち切りで35話となった訳で、もし4クールあったとしたらどうなっていたのか。園田氏による後半の構想のアイディアが「エスパーサイボーグ」「リョウとチャックの対立」など突飛すぎるものが多かったこと、会川氏の途中離脱は避けられなかったとしたら、相当にグダグダな“駄作”になっていた可能性は高いんじゃないでしょうか。
しかし4クールあれば、マシンロボ等に取られていた葦プロの実力派スタッフがもっと参加できていたかも知れないし、メモリー&ダストジードの掘り下げ、リョウとアニスの関係の進展は可能だったんじゃないかとも思ったり。りょあにはいくら園田氏がゴネても、根岸監督がすっぱり舵を切ったらそっちに行ったはずですし。少なくとも岸間氏はやる気でいらっしゃったんだし。
ダストジードは打ち切りがなかったら「戦いの最中にレミニスの記憶を取り戻して苦悩する」という別の未来、別のキャラクターになった可能性が高いので、それはそれで見てみたかったです。悪の華のままで散った彼も良いんですけどね。
それもですけど、妖魔サイドの事情、メッシュの思惑はちゃんとやる予定だったんですかね。メモリーはもっと掘り下げが必要な「影の主人公」だったはずで、そのメモリーにとって「宿敵」メッシュはどういう存在で、メッシュはメモリーをどう思っていたのか。そこがもっと明確であれば、ボーグマンたちの「誰が為に戦う」が引き立ったと思うんですが、まあ「子供向けにそんな大人のドラマ要りません」と云われたらそうかも知れず。

それこれ考えると、やっぱり打ち切りの35話で収まったのは作品にとって良かったのかも知れません。話数あったところで、園田氏と根岸監督の「ボーグマン」に対する認識のズレのすり合わせはなされなかったと思いますし、菊池氏もいい加減本編に参加させろ最終回ぐらいやらせろと突き回してきたかも知れないですし。年老いたオタクになって再燃してあれこれ調べたから分かりましたけど、とても根岸監督が現場で制御できたとは思えない、いろいろアカン御仁でしたよね…(超小声)。
posted by はらよしかず at 18:00| ボーグマン