2019年08月16日

猛残暑お見舞い申し上げ雑談。

9/1はラストバトル30周年なので、さすがに何もしない訳にいかないことに気が付いたのは先日。そしてそこから三週間ちょい後にリョウ誕という事実にマジで白目剥いているある日の猛暑ですが皆様いかがお過ごしでしょうか。まあぼちぼち準備進めます…ます…(震え声)。

そんなこともあって当面は更新する気はなかったのですが、こないだのマツコの深夜番組でバブル期の日本の狂騒を題材に語っていたのを見た際に、ふと考えたことがあったのでだらーっと駄文。そしてやっぱり園田脚本の考察になっちゃうのでした。すみません。

ボーグマンは正にバブル真っ盛りの時期に生まれた作品ですが、それが作品にどれだけ影響を及ぼしていたのか。当時でもアニメ制作現場は決して恵まれたものではなかったのは、「いまだから語れる80年代アニメ秘話」からも窺えました。正直AIC上層部は現場スタッフを同じ人間だと思っていなかったのではと疑うレベルに(特に平野監督を)酷使してましたし。
しかし若手アニメーターが才能を花開かせられるチャンスがそこかしこに転がっていて、菊池氏や羽原氏、オーガンの大張正己氏もその土壌なくして頭角を現すことはなかったでしょう。

で、ボーグマンですが、本編は案外そういったリアルの世相は取り込まれておらず、これは根岸監督が(SFアニメ作品として)普遍的な要素を重視し、時事ネタを入れることを好まなかったからではないか、と思っています。“前番組”であるジリオンもそこは配慮されていたのではないでしょうか。リョウたちの服装やガジェットも、今見てもそんなに古臭くないのはスタッフのセンスの賜物ではないかと。ラストバトルも、とにかく要素を削ってシンプルな世界観にしたことがプラスに働いたのか、そんなに見ててキツい部分はないんですよね。アニスのルージュの伝言が当時でも失笑レベルなこと以外は。
しかし、ラバレは当時の「トレンディドラマ」を意識してしまったのか、リョウとアニスの部屋のデザインや小物、アニスのコスチュームはかなりバブル臭がするものとなっており、この辺はスタッフの、恋愛ものに関するセンスのなさが露呈されてしまったと云わざるを得ません。ぶっちゃけ、アニスのコスは肩パット入ってそうなあのジャケットとか色指定がどうにも好きになれない。リョウのコスは良かったのにねえ。
個人的には好きな部分も多い(特にBパートの演出)ラバレですが、考察を深めるごとに脚本の(リリースされた時点で)古臭さ、どうしようもなさが浮き上がってきて辛いところ。この辺はまた後日に。

ここで思ったのが、ボーグマンや剣狼伝説シリーズにおける園田氏の作品に対するアプローチで、園田氏は元々舞台を中心に活動されており、80年代後半もアニメ仕事の傍ら劇団の主宰を務めるなど、アニメよりも演劇方面で作劇のノウハウを修得してこられたようなんですよね。
もしかしたら、園田氏は舞台の仕事や人間関係を通じて、「バブル」を体感する機会が普通のアニメ関係者よりも多かったのではないか。雑誌媒体で残した数多くのビッグマウスも「バブルの投影」だとしたら、割と納得いくかも。当時はおそらく舞台の仕事が絶好調だったんでしょう。なんせ「ソが付く分野田秀樹より偉い」とぬーたいぷで豪語なさってたぐらいですし。おすし。

何より、キャラクターや世界観の扱い方の「軽さ」、アニスに思い入れを深めると同時に、他のキャラクター(特にリョウ)や作品そのものをないがしろにしたり、剣狼でもレイナを愛でるあまりに、本来の主人公であるロム・ストールが手にした“財産”をすべてレイナに捧げさせて退場させるなど、これら重みのない所業とファンの思い入れの深さが合致しなかった。当時のアニメファンはバブル景気どころか宮崎事件で肩の狭い思いをしていた訳で、逆にバブルを内包していた園田氏は根本でアニメファンとズレていたのではないでしょうか。
レイナにせよアニスにせよ、園田氏は「バブル景気」のノリでその人気に身を投じたのに対し、根岸監督はアニスの人気を冷静に受け止め、作品がアニスに振り回されないよう配慮し、「園田ヒロイン」としてのアニスをきっぱり否定した。しかしそういったブレーキとなるスタッフ不在で独り歩きをはじめたレイナは、剣狼伝説でクロノスの大逆襲を崩壊させる存在となった。それはもちろんレイナの罪では全くなく、「レイナ人気」というお立ち台で踊り狂ったスタッフの責任で、その後レイナというコンテンツが尻すぼみになったのも致し方なし。今にして思えば、レイナ人気の復活とアニスの奪還という期待を込めた企画だったとおぼしきライトニングトラップは、園田氏の中のバブルの残滓だったんじゃないでしょうか。

ちょっと横道にそれますが、剣狼シリーズリリース当時のアニメVをチェックすると、3関係の記事では羽原氏が出ずっぱりで園田氏はコメントを残しておらず、羽原氏を盾に隠れてファンの反応を見てたんじゃないかとモヤる。受けたら表に出て来てきて語る気マンマンだったんじゃないか疑惑。ロム死亡もリリース後に情報を解禁するなど、剣狼3はまったくもって悪質な作品としか云いようがありません。分かってたらソフト買わなかったファンも多くいたんじゃないでしょうか。まあ園田氏以上の戦犯はPだと思いますけど。

バブルに対する偏見が混じってるかも知れず、ピント外れなことを云ってるかも知れませんが、ずっと違和感を覚えていた園田脚本の「軽さ」は当時の世相の表れでもあったのではないかと、マツコのトークを聞いてふと思ったのでありました。園田氏の性分もさることながら、(生き死にを含めた)キャラクターの在り方の軽さとか、作品やヒロインを好きにできる権限は自分にあると云わんばかりの傲慢さがコメントから見え隠れしていた理由が、それでしっくりいく気がしました。

reina-anice.jpg


おまけ。
かなり前にラフだけ描いて忘れていたネタを仕上げました。ライトニングトラップのリョウ君は羽原監督的には「子供時代のロム」だったそうですが、本編に関しては、園田氏はロムよりリョウを意識してキャラメイクしていたように思えるんですよね。小説版ではリョウ君は妹と一緒に登場したりとロム兄さんっぽいですが。
クロノスのレイナは、接触した(味方サイドの)男性は自分に好意を寄せて当たり前と素で思ってそうな気がするのはわたしだけでしょうか。あのものすごく危ういキャラメイク(お嬢様・わがまま・同性に当たりがキツイ・足手まとい)を可愛いは正義で成功させたのは、水谷さんの演技の賜物だと思います。
実は不快感が少ないという点で、ライトニングトラップは剣狼よりマシという考え方です。たとえ脚本が作品の体を成していないレベルであっても、ライカのぱんちらで誤魔化されてあげられます(えー)。
posted by はらよしかず at 19:00| Comment(3) | その他アニメ

2019年08月02日

脚本についてすこし考えてみた。

気が付けば2週間ちょい放置した格好となりましたが、猛暑と腰痛の逆襲を喰らっているわたくし、今月は夏休みとして体調を整え充電して、涼しくなったらいろいろやればいいんじゃないかと本気で考えてます。とりあえず今月あと1回は更新したい。

ついったでだらだら呟いていたら、ボーグマンの粗さの原因は脚本の繋ぎの悪さにもあるんじゃないかと思い出しちょっと調べて考察してみた次第。もうねえ、毎度園田氏のことを悪し様に云いたくないんですよ本当。だけどやっぱりまおかになっちゃうんですよねえ。単発回だと特に気にならないんですが、続きものになると繋ぎが悪い。28話以降からは岸間氏がメインライターになったせいで、流れがスムーズになっていきますけど。

これから採り上げる(既に紹介済みの話以外の)各話に関しては、またそのうち感想文でじっくり語る予定です。

【4話→】

qts04-1.jpg


脚本は会川氏。以前アップしたLD-BOXの会川氏インタビューによると、会川氏はやや合流が遅れ、読売広告社と日本テレビのPに見せてもらった資料を参考に脚本を練ったとあります。まだキャラも掴めてない手探り状態で4話のシナリオを仕上げられたことは内容からも窺えます。
強敵ダストジード登場、ロードサンダーの大破、フリッツ博士の死と、ボーグマンチームに大きな爪痕を残した非常に「重い」回となりました。

【5話】

qts05-1.jpg


脚本は園田氏。4話で与えられた試練をどう乗り越えるかがキモだった訳ですが、5話冒頭でメモリーがフリッツを思い涙を流した後は、あなたの残したデータで妖魔と戦うわ! とすぱっと立ち直ったのでありました。

qts05-2.jpg


一方のリョウは、まったく歯が立たなかったダストジードのことよりサンダーの修理に追われ、サンダーを直せない苛立ちに囚われている最中。そしてこのエピのメインは子供たちと遠足に出かけたチャックとアニスが、ダストジードの放った妖魔の追撃を躱しつつ子供たちと交流を深める。その部分に比重が置かれていた訳です。
決して悪いエピではないんですが、ダストジードの存在によるメモリーとリョウそれぞれの葛藤はオミットされ、フリッツ博士も即空気扱いになるなど、この時点から会川氏と園田氏のかみ合わなさが出ていたように思います。

【13話→】

qts13-1.jpg


みんな大好き13話で脚本は云うまでもなく会川氏。会川氏的には改心の出来だった半面、リョウの右手斬り落としで、スタッフ内で相当揉めたことも窺えるエピなのは有名。会川氏は日本テレビの堀越氏に相当庇ってもらったと、LD-BOXのインタビューで語られております。
スペースブロック爆破でダストジードにその場を去られ、取り残されたリョウをチャックとアニスが助けに現れるところで終わり、リョウの失った右手はどうなるのか、ダストジードとの決着を付けられなかった挫折感がその後どう描かれるのか。シナリオ・演出共にそれを匂わせた上での次回へ続くでした。

【14話】

qts14-5.jpg

qts14-4.jpg


脚本は園田氏。冒頭でリョウの右手はメモリーが作ってくっつけたよ! であっさり解決。リョウ自身もいつもの明るい態度で仲間たちと接しており、13話のあの張り詰めた態度はなんだったのかというぐらい、ノリが通常に戻っています。
それ自体は悪いことでもないんですが、このエピのリョウの苦悩は「右手を使いこなさないと子供たちを守れない」ことにあり、あれ? ダストジードはもうええんか? と疑問に思った視聴者はいたんじゃないでしょうか。そのダストジードも20話まで音沙汰がなくなってしまう訳で、会川氏が13話で打った楔を引っこ抜いて放置したかのような、良くも悪くも毒のないエピに仕上がってるのでした。
この辺は難しいところで、会川氏はダストジードを通じてもっとリョウを追い込みたかった節が窺えるのに対して、園田氏はリョウがダストジードにこだわることで、「先生と子供たちの交流」の軸から外れたものにしたくなかった、リョウは先ず子供たちに頼られる「響先生」であるべきという考えだったのでしょう。個人的には、園田氏がリョウに変に苦悩させなかったのは正解だと思いますが、それでも会川氏のこだわりを露骨に否定したとも思います。

【17話→】

qts17-10.jpg


岸間脚本。感想文やったエピなので詳細は省きますが、終盤で美姫は「妖魔と戦うには組織の力が必要。妖魔と戦いたいならファントムスワットの傘下に入るべき」とはっきり告げています。この主張はリョウとアニスもその場で聞いてます。

【18話】

qts18-4.jpg


園田脚本。美姫のボーグマンチームへの当たりのキツさは、17話冒頭と変わってません。それが表面上のものなら理解できるんですが、校長室に突然乗り込んできた美姫は前述の主張を繰り返します。いやそれもう云ったよね? メモリーに云いたかったと云えばそうなんでしょうけど、それを聞いたリョウが怒ったのがどうにも不自然。いや美姫がそういう考えなの知ってるでしょ?
チャックと美姫が2人だけで会話する場面で、美姫がチャックのことを「チャックさん」と呼んだりするなど、脚本をチェックする立場にありながら17話の脚本ちゃんと読み込んでなかったんかなと。
どうも園田氏はかゆいところを放置して、個人のこだわりを重視する傾向にあったように思います。輪をかけてその傾向の強かった会川氏と相性が悪かったのは当然だったのかも知れません。しみじみ、岸間氏が上手いこと中和してたんだなあ。

【27話→】

qts27-6.jpg


27話→28話のつなぎの甘さはかなり前にも書いたのですが、傷ついたアニスを前に、リョウがアニスを「守るべき存在」のひとりであるとはっきり自覚し、命懸けで妖魔を退け倒れ、チャックも同様に力を振り絞り、美姫の腕の中で倒れるという締めの27話。会川氏がここでリョウとアニス、チャックと美姫の関係の進展を示唆し、ダストジードの哄笑がボーグマンチームの暗雲となっていることも描かれ、非常に重いエピソードに仕上がっていました。

【28話】

qts28-11.jpg

qts28-7.jpg


で、もうさんざんこき下ろしてきたので今更ですけど、拍子抜けするぐらいに28話は通常回と変わらない空気でスタートし、あれだけ重篤な状態だったリョウとチャックはあっさり回復し、アニスだけが回復遅れてますよと云う冒頭。このエピソードで最も重視されたのは「(園田設定による)アニスの過去」、そしてリョウとアニスのフラグの撤去で、27話でアニスを守ろうと懸命になっていたリョウはアニスと距離を置き、彼女を遠巻きに見つめるだけ。落ち込むほどに回復が遅れ、クライマックスでも無理をして戦ったはずのアニスは30話でケロっとしていた訳で、これ根岸監督が園田氏に最終話の執筆を諦めさせる替わりに、28話を好きにさせたのではないかと思う位、園田氏の独善が目に付く内容なんですよね。よくここまで会川氏が盛り上げた描写を無視して自分の描きたいものを通したもんだなと。会川君余計なことしないでよ俺こんなの引き継がないよさあアニスたんをペロペロするお!(^ω^)という感じだったんだろうか。
演出と作画は神クラスだし過去を含めたアニスの描写自体は悪いものではありません(むしろ大好き)。ですが、本編の主導権は監督に譲ってもアニスだけは自分の手元に引き寄せよう、そのためにもリョウとアニスの恋愛の進展だけは阻止しておこう、という園田氏の思惑を感じてしまい、そういう意味で悪質な内容と思えてしまいます。

正直、剣狼伝説を知らなければここまで疑惑を抱くこともなかったんですが、自キャラ萌えしたらあんなエゲツないことも実行できる御仁だったと知った今となっては、とても良心的な目で見れない。28話の時点で「夏目想太郎のなりそこない」となっていたであろう響リョウにどんな運命を与える気でいたのか、下手な怪談より恐ろしいわいブルブル。

まあ29話で、会川氏もまるっと28話のあれやこれやを無視してましたけど、根岸監督が主導権握ったからできたんかな。29話で離脱したことも大きかったんでしょうけど。ボーグマン以降、会川氏と園田氏が一緒に仕事をする機会はなかったようなので、つまりそういうことだったんでしょう。

まあさすがに34話はちゃんと33話からつながった話になってましたけどね。なんと云うか、4話・13話・18話って話が明確に動く重要な回なのに、そこから広げたり掘り下げたりをせずに、園田氏が想定している範囲に要素を置き直して仕切り直すを繰り返したせいで、視聴者に散漫で浅い印象を与えてしまったんじゃないでしょうか。もうちょっと早い内に根岸監督が主導権握って園田氏を抑え込んでいたら、こういったまとまりの悪さを改善できてたかも知れませんけど、どうかな。

次回の更新で何をするかは未定ですが、いい加減園田氏の罵倒は控えたいです。当面は(ぉぃ)。
posted by はらよしかず at 21:20| Comment(3) | ボーグマン