2019年10月22日

【ラストバトル】チャック誕inラストバトル【番外編】

日々バタバタしていて、気が付いたらチャックの誕生日が目前でした!(白目)という有様だったのと、どのタイミングで振り返ろうかと思案していたこともあり、今回はラストバトルのチャック(+美姫)を採り上げます。2日遅れですがいんだよ細けえことは(ザ・松田ステイ)。

これはラバレもそうなんですが、リョウとアニスがスタッフの意向に振り回されファンに違和感を与えるキャラクターとなってしまったのに対し、チャックは続編の世界観に対応し、なおかつTVシリーズと変わらない振舞いで登場しています。美姫との関係の進展等、OAVでファンが望んでいた姿を見せることができたのはチャックだけでしょう。良いのか悪いのか、スタッフの思い入れから少し離れた位置にいたお陰で、彼らしさを失わずに済んだのではないでしょうか。井上氏の地に足の着いた演技に寄るところも大きいと思います。

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リョウとアニスの破局が描かれた直後に登場。このショッキングピンクのトランクスは、松井菜桜子さんに強烈な印象を与えた模様(ソースはパンフレットのコメント)。チャックはラストバトルの初期案では警察学校の教官になっていたとかで、そっちも見てみたかったですね。

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ラストバトルの特色が表れているチャックと美姫のホットなシーン。ごく自然にチャックの腕の中に倒れ込む美姫。その彼女を抱き留めて髪を撫ぜたり、ブーツを脱ぐ美姫の仕草やチャックが彼女のために椅子を引いておく動作など、演出がとにかく凝ってるんですよ。なぜこの愛情をリョウとアニスに注げなかったのかと、そういう意味で腹が立ってくるレベルに良いです。りょあには(諸事情で)あんまりいちゃいちゃさせられないのでチャックと美姫でニヤニヤしてね! ということだったのか。もしくは演出の村山氏が美姫派だったそうなのでそのせいかしら。
そう云えばここまでいちゃこらしてんのに同棲はしてないのか。実家の爺ちゃんがその辺うるさいんですかね。

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中華料理店でアニスを諭すチャック。チャックとアニスの距離感と空気が心地いい場面。2人が本当に破局したらいちばん心を痛めるのはチャックなんですよね。あとリョウは仲間以前に親友だし、どうしても彼の肩を持ちたかったんでしょう。だいぶ前にも書いたんですが、アニスがリョウ以外の男性を選んだらめっちゃ干渉しそうな気がする。リョウならともかくオレよりいい男でないと認めないぜ? みたいな。

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ハンターボーグマンとの一騎打ち。地形を考慮したバトルに仕上がってます。チャックはTVシリーズでは単騎だとイマイチええとこなかったんですが、この一発で仕留める場面で挽回しましたね。カッコいい。そんな妖魔を倒すように、ボーグマンをあっさりころころしてええんかと思わんでもないですけど。ヤツら一応元人間だし。

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チャックに抱きつく美姫の手に力が籠るところとか、完全無欠のラブラブカップルぶりがまぶしい。ねえ本筋は誰と誰のラブストーリーでしたっけ?(皮肉)

ラストバトルにせよラバレにせよ、リョウとアニスがTVシリーズと異なる空気をまとわせて登場した違和感を和らげる役目を、チャックは担っていたと思います。結果的にそうなっただけで、スタッフがそこまで意識してチャックを動かしたとは思ってませんが。
チャックの柔軟の利くポジションとキャラクターが、数年後に(ファン的に)大きな悲劇を招くことになりますが、さらにウン十年後にブルーレイBOXのイラストの方が更なる悲劇として語られるようになっちゃうとはこのリハクの(略)。菊池氏がどんだけブーブー云おうが、これだっきゃ変化と認める訳にはイカンのでず!! 未来永劫としあきからツッコまれ続けるんですよ!?(どうでもいい)

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実はチャックがいちばん美味しい場面ってここじゃね? と思わなくもない。
いいですよね姫抱っこヽ(´ー`)ノ
posted by はらよしかず at 17:24| ボーグマン

2019年10月15日

【30周年】ここが変だよ! ラストバトル解答編その1。

さて資料も出そろいましたので、ラストバトルをぼちぼち語っていこうと思います。今までのはほんの序章です。あの程度でゆるされたと思うなよハッサン。食傷気味になると思うので、合間に別のネタも挟んでいく所存。

サイソニック学園と妖魔の概念の消去、リョウとアニスの同棲関係という設定に釣り合わない愛情描写の欠如、リョウとチャックの戦闘のサポートに留まったバルテクター、オリキャラのハッサンと火鷹が話を回すお粗末なシナリオと、ラストバトルが「ボーグマンの続編」として見ると欠陥だらけなのは今までの記事でお分かりいただけたかと思います。特にメカを中心に、続編でありながらTVシリーズの設定のほとんどをなかったことにしたのはどういうことなのか。

簡単です。根岸監督が優先したものが「三年後のメガロシティ」だからです。

ラストバトルの冒頭の仕上がりは素晴らしいです。無数に乱立するビル群、働く人々、夜の歓楽街、そして発展から取り残された、それでも逞しく生きる貧困層の人々が集うスラム街(旧グレイタウン?)。三年の間にメガロシティが歪な発展を遂げたことが伝わる描写と、合間に挟まれるオメガ誕生のカットは「この街でまた何かが起こる」という期待を高めずにいられない、魅力的な映像となっております。山ちゃんの歌もカッコいい。

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が、この冒頭の空気感と、かつてこの街を守る為に戦った「(元)超音戦士」たちの描写が噛み合ってない。謎のボーグマン出現に戸惑う美姫の後、舞台がアメリカに移った途端、突然はじまったリョウとアニスの痴話喧嘩の説明不足が、それを物語っていると思います。

根岸監督が重要視したのは「メモリーが守った街のその後」であり、そこで「メモリーの遺志」を継いだリョウたちが再び何をし得るのか、だったと思うのです。
しかし、どういう訳か根岸監督はそれ以上に「街」そのものにこだわり、超音戦士だったリョウたちとその世界を、監督が設定したと思われる「三年後のメガロシティ」に見合うリアリティに落とし込んでしまった。そのリアリティは、AI搭載で喋るバイクも変形システムも奇抜なデザインのバギーも不要とし、バルテクターの機能も制限。さらには「妖魔」というオカルトな敵がいたことも伏せ、サイソニック学園も過去の遺物としてしまった。
このこだわりはヘブンズゲートの描写にも及んでおり、火鷹の案内でヘブンズゲート内を見て回るアニスのくだりでそれは分かると思います。磁力で快適に走るエアカーとか、近未来の雰囲気はいま見ても興味深いです。というか、案外リアルでまだ実現されてない気がする。

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こんな風にメガロシティにはこだわったクセに、NASAの描写がいい加減なのが(ハッサンのあの蛮行を金属疲労で納得するなんてあり得ないでしょ)、ラストバトルのイラつくところです。

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※インタビュー再掲。海上都市云々の部分にこだわりが窺えます。


本当に推論ですが、ラストバトルは元々「アフリカで教師をしているリョウとアニス」の心のすれ違い、そこに付け込みアニスに接近する火鷹、という恋愛要素中心で途中まで制作が進行。しかしシナリオが没となり、二転三転した挙句、最初は影も形もなかったNASAスタートの(急造?)シナリオが決定稿となった。その過程で根岸監督はラブストーリーを諦め、「三年後のメガロシティ」、そしてメモリー(の遺志を受け継ぐアニス)に自分を認めさせるために狂気に走った火鷹の在り方に照準を絞ったのではないでしょうか。もしかしたら、根岸監督が自由にこだわれた要素がそこだけだったのかも知れません。
火鷹の信念はあくまで「サイボーグとは人類の進化の鍵」にあり、TVシリーズの設定がひっくり返されたのは、「火鷹を基準とした科学力」にリアリティを持たせたかったと推察。転送装置もラストバトル的にはロストテクノロジーにしちゃったみたいですし。

結局、根岸監督がラストバトルで何よりも誠実であろうとしたのはファンでもリョウたちでもなく、監督の中の“メモリー・ジーン”だったのではないかと思うのです。火鷹の野望に浸蝕されようとしていたメガロシティが、ボーグマンというメモリーの代行者たちによって(街の人々の誰も気づかない間に)再び救われる物語を描き出したかったのでしょう。
しかし、「メモリーのいないボーグマンは丹下段平のいないあしたのジョーみたいなもの」と云い切るほどにメモリーにこだわった割に、随所にメモリーの存在を感じるような作品だったかというとそうでもない。まだラバレの方が「メモリーのいないメガロシティ」の空虚感、そこで彷徨うリョウたちを表現できていたんじゃないでしょうか。
監督がメモリーに捕らわれたせいで、リョウたち「ボーグマン」がどう3年の月日を過ごし、どう生きようとしたかが不明瞭となってしまい、肝心のメモリーの存在すらもどこかぼやけている。そこを鮮明に描き出せなかったのもラストバトルの欠点だと思います。

というか、インタビュー読み返すと、ラストバトルは監督の引き出しから無理やり要素を引っ張り出して作った続編で、本当は監督の中でボーグマンはFORVERで終わっていたと思わざるを得ません。しかし、根岸監督がここで降りていたら間違いなく園田氏が乗り出していたと思われるので、監督が続投したことでボーグマンは守られたと思っていいでしょう。そこは感謝すべきと思ってます。
そこまで云うかと思われそうですが、ではクロノスの大逆襲を踏み台にしたレイナ剣狼伝説以上の惨劇を見たかったと?

なぜ途中まで制作が進んでいたアフリカスタートの物語では駄目だったのか、なぜリョウとアニスの関係は中途半端なことになったのか。次回はそこに触れようと思います。

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関係ないですけど、ラッコのトレイシーちゃんは何をしたんでしょうかね。
美姫も気になってるんじゃないですかね
posted by はらよしかず at 19:00| ボーグマン

2019年10月04日

【資料】ラストバトル アーカイブス【後編】

ラストバトルに戻ってきました。が、リョウ誕もちっと書き足りてない感があるので、もしかしたら補足回をやるかも知れません。またマンガをロクに描けないまま今年もあと2かgウェッホウェッホン!!!(吐血)

今回は脚本の岸間信明氏がアニメディアの別冊付録で発表した2本のSSです。掲載に差し障りが出たら削除します。
ラストバトルの欠陥の原因のほとんどは脚本にあると云ってもいいぐらいですが、岸間氏を戦犯として責める気になれないのは、このSSを通じて岸間氏のボーグマンという作品、そしてリョウとアニスの関係に対する深い思い入れを感じるからです。
前編で掲載した根岸監督のインタビューにあるように、脚本が途中で大変更となり結局四稿まで改稿された経緯を考えると、岸間氏のモチベーションが切れても仕方ないし気の毒な状況に置かれていたことは想像に難くありません。
SSはどちらも「リョウとアニスはアフリカで教師をやっていた」最初の設定が大前提となっており、ラストバトルでトンチキぶりを晒したリョウは、ここではちゃんとアニスを大事にする年相応の青年として、アニスはリョウに寄り添いつつ、教師として懸命に生きる女性としてしっかり描写されています。
あの22話で見事にリョウを掘り下げるなど、キャラクターを重視して丁寧に描写してきた岸間氏なので、ラストバトルのあの完成稿が氏の本意だったとは到底思えないんですよ…。

脚本の大変更の理由は知る由もありませんが、3人いたプロデューサーの意向のすり合わせや、根岸監督の「ボーグマンの続編」に対する試行錯誤など、大人の事情が錯綜したことは確かでしょう。
本編でも、主人公が夏目想太郎でゴールドシルバーブロンズなボーグマン設定ありきの世界観がギリギリでひっくり返った経緯を考えると、根岸監督はそういう卓袱台返しが平気な方だったんじゃないかと思ったり。


アニメディア1989年6月号付録「アニメ少女体験告白集」より。

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「メモリーの不在」がアニスにもたらすリスクから彼女を救うリョウや、アニスの教職に対する情熱、リョウへの想いが見どころ。ここでは未亡人にコナかけられてますよリョウ。イザヤは何歳なんだ。ピチピチの若い男を捕獲しておきたかったのか。アニスをサポートするサンダーもいい味出していて、この世界観だったらサンダーもそこそこ登場していたのかと。
アニスのパーツを自分のと交換したと云うリョウですが、どうやって手術したのか。ブラックジャックが自分で自分を手術したぐらいには難易度高そうですが。
まじめな話、アニスは生きている限りこういったリスクを負う運命にある訳で、リョウが傍にいて自分の一部を与え続けていくことで、2人は一蓮托生ということですよね。まあチャックが猛勉強してメモリー並の科学者になる未来なら、悲観することもないと思いますけどそんなものはない(無表情)。

アニメディア1989年9月号「アニメキャラ キョーフの未公開秘話集」より。

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たぶん時系列的に、こっちが「ラブ・バラード」より先のエピソードになるんでしょう。実はよしかずさんこの話がちょう大好きです。控えめに申し上げてもラバレより遙かに好きです。りょあにの聖典だと断言します。
男女の関係を意識し合いながらも、間に横たわるメモリーの存在にそれを阻まれてしまう。それでいて、ふたりで過ごす時間が楽しくて幸せで。そんな空気感がたまらなくいいんですよ。幽霊メモリーとリョウの会話も優しくてしっとりしてていい。サンダーがチャーミングでいい。最後なんてもう絶対にセ(規制)。

どちらも岸間氏の温かい目線の感じられる内容なので、だから園田氏みたいにフルボッコできないんですよ。おそらく(火鷹を交えた)2人のラブ・ストーリーをちゃんとやりたかった岸間氏に対して、根岸監督は同棲設定で満足してしまい、別の要素を重視してしまったのではないかと。この「別の要素」に関して、後日考察を進めていく所存。

だいぶ前にも書きましたが、ラストバトルはノベライズ版を出して補完するべき作品だったと思います。菊池氏が外れた時点でそういう企画も出なかったのかも知れませんけど、惜しいなあ…。

おまけ。
アニメージュ89年10月号のOAVレビュー。

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タイトル部分をうっかりトリミングしちゃってますが、いちばん下がラストバトルの項目です。あさり先生は通常営業だからともかく、アニスのおっぱ…変身バンクしか見てなかったライター連中にそこまで云われる筋合いねーよとか思っちゃうのはわたしの心が狭いんでしょうか。まあ当たってる部分も多いけど(ムキー)。
posted by はらよしかず at 21:00| ボーグマン