奥様例の本はぱんつだらけだそうですわよあら破廉恥な!(ヒソヒソ)どうしてか、ボーグマンイベントの時よりソワソワするマイマインド。いや横田守氏のるーぱー本とか型月の社長の画集とか島本先生の鬼滅本とか、心惹かれる新刊の噂を聞きかじったもので。
それとは関係なく、イベント直前にやったろうかなーと思っていたネタのひとつである会川脚本特集です。園田脚本とどっちにしようか迷ったんですが、それだと(ここ毎度見て下さってる方的には)褒め殺しとしか捉えられず嫌味度が増す気がしたのでヽ(´ー`)ノ
イベントは無事成功しましたし、参加者の方には嫌な顔されそうですが、それでも最終回以外はすべて園田脚本回の上映で、ボーグマンの何が伝わるのか伝えたかったのか、という引っかかりはあるので。口うるさいBBAが何かやってるよ()と流してやって下さい。
作画や演出との兼ね合いもあると思うのですが、見終わった後で印象に残らない話が多かった園田&岸間脚本回に比べ、エッジの効いた内容で何かしら心に残るのが会川脚本回だったと思うのです。これはOAVのテイストを効かせたくて大畑氏と共に会川氏を招いた根岸監督の思惑が当たった形になったと思います。
園田&岸間回は子供たちありきの「先生と生徒」のドラマになりがちだったのに対して、会川脚本は13話以降はボーグマン3人、後半ではメモリーの内面を重視。プロット自体も各話まとまってて、素直に面白く見れるクオリティを保っておりました。ただし(読広の大野氏と日テレの堀越氏が同席している場で)書いたという4話は、ちょっと取っ散らかっていたかも。
未レビューの回が多いので、それは後日じっくりやります。
【4話】最強の敵・ダストジード
ジリオンで云えばリックスに当たる妖魔最強の戦士・ダストジードの登場に、ロードサンダーの大破、フリッツ博士退場と、「序盤の終わり」に必要な要素が盛り込まれた回。しかし作画はイマイチ、演出ももっさりしており、どうにも魅かれない回になってしまったのが残念。ダストジードの存在感、壊れて沈黙するサンダーの物悲しさは山ちゃんの演技で体裁を保てた印象。
ボーグマンを否定することでしか、自分のメモリーへの想いを表現できなかったフリッツ博士の不器用なツンデレぶりは良かったんですが、メッシュが再度動き始めるまで2年もあったんだからもっと早く口説いておけや! と思わなくもなく。ダストジードはキャラ立てを模索したまま今回はここまで、という感じだったんでしょうか。以降で微妙にキャラ変わっちゃったんですよね。
意固地なフリッツをビンタして「“いま”戦う以外にあの子たちに何がしてやれるのか」と毅然と云い放つメモリーの描写は、27話で活かされることになります。
ボーグマンたちでなければ「今この時」子供を守れない。そこを押し出そうとしてちょっと消化不良になった気がします。
【10話】妖魔兵器! 過去から来た少年
難病を患い、治療が可能になる未来で目覚めるためにコールドスリープしていた少年・シロウとモーリーの偶然の出会いと心温まる交流、そして別れを描いた物語。単発のエピソードとしては申し分なく、モーリーの愛らしさも良く出ているんですが、会川氏はアニメージュのインタビューで、主題をどこに置いていいのか迷っていた時期の脚本であることを明かしており、ボーグマンでなくても(それこそジリオンでも)成立する話なんですよね。確かに、この回のボーグマン3人のポジションは「教師」なのか「街を守るヒーロー」なのか、どっちつかずな印象は受けます。クライマックスでリョウを差し置いて熱血して美味しいところを持って行くチャックに、この後更に顕著になる会川節の片鱗が見え隠れしております。
【13話】血戦! リョウ最期の日
云うまでもなくボーグマン屈指の神回。会川氏だけでなく、すごいもの見せてやる! とスタッフ一丸となって制作されたという点では、最終回も凌駕する気迫が込められているんじゃないでしょうか。
困ったことに、わたくしいまだに13話を語るだけの語彙が用意できていません。ただ、ここでリョウとチャック、メモリーの過去が描かれたことで、会川氏が夏目想太郎前提の世界観から脱却し、登場人物に深みが増したことと、次の世代に「夢を託す」ための戦いであることを明示できたせいで、1クール目のような迷走が以降は見られなくなったのは大きかった。それだけ13話が投じたものは、作品にとって重要だったということは記しておきます。
メモリーありきのドラマではなく、リョウとダストジードの対峙に終始した点も重要。メモリーって(23話まで)会川氏にとって物語を構築する上で枷だったのかなあと思ったりします。16話は回想にしか出てこないし。リョウを中心に据えたボーグマンがやりたかったのかなと。
ところでリョウとちょっと連絡取れないだけで、ウロウロソワソワするチャックの心配性ぶりにくさった微笑みが浮かぶのは、ごく自然なことですよね?
【16話】美女の罠! 映画スターチャック大ピンチ
本来とは別の意味で会川節が最高な回。リョウとチャックの関係の掘り下げが行われたのは、実はこの話だけなんですよ。そういう意味で貴重なエピなんですが、くされなわたくし、見る度にうひぃ! グフゥ! と背中を捩っちゃうぐらいにほもセンサーが反応していけません。美形度マシマシの池田作監だったのも罪深い。
どっちが映画出演にふさわしいかが発端となり、意地を張り合いケンカしてしまうリョウとチャックですが、本当にささやかな諍いで終わって後はふたりの世界でヒロインは空気という、他作品の会川脚本でもデフォルトになっていくほも領域展開がすごく…会川です…(日本語で)。某魔胎伝も、ヒロインの恵ちゃん空気化で南雲と武昭の悲恋物語になっちゃったしね…(一部曲解あり)。
ほもはともかく、クライマックスで「俺たちは奴らと戦うために生まれた!」と云い放つチャックは会川節極まれりすぎて、やりすぎ感すら。いやアンタ本当は宇宙に行くためにボーグマンになりましたやん。
ラストの男2人の掛け合いを見守るアニスとシンジ、という締めが気持ちいい回でもあります。13話で会川氏の中でキャラが出来上がったこともあってか、地に足の着いたキャラ描写をされるようになっていったので、そういう意味でも会川脚本回は安心して見れるようになります。園田氏は終盤まで夏目想太郎を引きずり続け、アニスに過剰に思い入れていったので尚更ですね。
【19話】妖魔都市! 不思議の国のアニス
レビューやりましたのでそっちで。ぱんつしか語られないのは勿体ないぐらいに、本編ではよくできたエピソードなんですけどねえ。会川氏がアニスをどう解釈し、魅力的に描こうとしていたのか。それがよく分かる回でもあります。
【23話】シンジを救え! 襲われたボーグマン基地
再燃してからかなり後まで、岸間脚本だと勘違いしていた回。それぐらい会川氏のアクの強さが控えめな珍しい回ですが、会川氏はこのエピで「子供番組」としてのボーグマンを描けた、そういう意味でお気に入りと語っておられます。
4話からこっち、会川氏がほとんど触れなかったメモリーが中心のエピとなってますが、メインはボーグマン基地そしてメカのおさらい。玩具の販促回として見ると、いいカンジにまとまってます。チャックと美姫のフラグもちゃんと立ててるんですよね。
メモリーがボーグマンたちの「司令官」として何を思い、リョウたちも知らないところで何を成してきたか。校長先生としての振舞いも描かれてるので、メモリー回としても秀逸な内容です。
【27話】崩壊の序曲! ギルトライアングルを攻略せよ
26話から空気がガラっと変わり、終盤に向けてのターニングポイントとなった回。妖魔界で深手を負ったボーグマン3人が、ダストジードに囚われたファントムスワットを救いにスペースブロックへと赴き更なるダメージを受け、ギルトライアングルの降下も止められずに終わるという重いエピソード。バルテクターのブースター機能が初披露されましたが、打ち切りの余波であんまり活用されなかったような。
チャックと美姫、リョウとアニスの関係の転機、教師の仕事を通じて守りたい存在が増え、よりヒーローらしさを増したリョウなど、会川氏でなければ描かなかったであろう場面が盛り込まれてます。28話でこの辺を(脚本家がアニス可愛さに)まるっと無視した流れに持って行ったのは本当に許しがたい。ただ、個々のキャラクターのドラマは秀逸ですが、俯瞰で見るとダストジードのターンすぎる、ダストジードの背後で何が起きているのかが、やや分かりにくいかも知れないですね。
【29話】崩壊の日! メガロシティクライシス
28話で別方向に持って行かれた流れを引き戻した回。ぶっちゃけ27話&29話でひとつのエピと思った方がいいんじゃないでしょうか。冒頭のリョウとアニスの会話とか、会川氏は主人公とヒロインの恋愛を重視するタイプに見えないせいか、リョウとアニスの関係性を大事にしていたのは意外でした。メガロシティの人々まで守れない。だけど学園内の子供たちだけは守り抜く。そんなメモリーの決意や、シンジとトオルに優しい視線を向け、ダストジードに毅然と挑み続けるリョウのヒーローとしての姿など、会川氏が必要と感じた要素を置いていった感じですね。特にリョウは動かしやすくなってたんじゃないかと思います。松本さんの演技も相乗効果になってたんじゃないでしょうか。
このエピを最後に会川氏はボーグマンの現場から離れますが、会川氏が少しずつ積み上げたダストジードの人物像、「子供たちが夢をかなえられる街に戻すために」戦うというボーグマンの存在意義は、13話で会川氏が明示したことで成立した要素であり、会川氏の功績を抜きにしてボーグマンは語れない。そう思ってます。終盤まで、園田氏も岸間氏もその辺はあまり深追いしてなかったし。両氏が重視したのは生徒たちで、リョウとチャックの「教師」以外の側面は、会川氏に丸投げしていた印象なんですよねえ。岸間氏はダストジードの描写はあんまり上手くなかったし(ボソリ)。
という訳で今年最後の更新でした良いお年を! 来年もこんな調子かな! …かな???
2019年12月31日
【今年最後】会川脚本を振り返る。
posted by はらよしかず at 18:36| ボーグマン