今回はリョウ単体のイラストをピックアップしようと選んでいたのですが、その最中にリョウを通じて菊池氏の画風の変遷を追ってみたくなったので主旨を変更。というか、リョウ単体の絵って菊池氏が手掛けたもの以外あまりないんですよね。大畑氏のは30周年の時に挙げちゃいましたし。細々としたものを探せば羽原氏のはありそうですが。
画集2より。ニュータイプ1988年4月号掲載。
画集1より。アニメディア1988年4月号掲載。
初期のイラストや、夏目想太郎として決定稿となったキャラ表にはジリオンのJJの面影が窺えます。これは当時の菊池氏が田村英樹フォロワーな丸みを帯びた作風だったことと、スポンサーが主人公に「JJの継承」を求めた部分もあったからではないかと。園田氏がJJと似て異なるやんちゃ系主人公として、夏目想太郎を考案していたことも大きいと思います。
画集1より。アニメージュ1988年7月号掲載。
しかし、本編ではJJ的な「周囲を振り回す」奔放さは早々にオミットされ、「教師」「ヒーロー」の二面性を強調した「自分より周囲を優先する」青年としてリョウは構築されていきます。リョウがどういう主人公であるかは、13話と22話ですべて語られていると云っても良いでしょう。松本保典氏が関俊彦氏と異なる声質だったこともあると思うのですが、リョウがJJと一線を画し、尚且つ魅力でJJに劣らない主人公として成立できたのは、菊池氏の絵柄の変化も手伝ったように思われます。
画集1より。アニメディア1989年1月号掲載。
菊池氏はシュラトの経験が自身の男性キャラの美形化につながったとコメントされてますが、実際TVシリーズの途中から睫毛が増えるなど美男子化が進んでるんですよね。ただ、まだ丸顔気味だったり鼻が団子だったりと、FOREVERまで童顔の域は越えていません。
画集1より。OAVラストバトル予約特典ポスター。
画集2より。ニュータイプ1989年2月号掲載。
TVシリーズ終了直後の画風の変化が凄くて、ラストバトル特典ポスターではまだ童顔なのに、ぬーたいぷのイラストでは細面の美形フェイスになってるんですよ。当然まだシュラトは放映されておらず、既に美形化まっしぐらだったという。これ、個人的には先んじて美形化していたダストジードに引っ張られたんじゃないかと思ってますがどうでしょう。本編の進行と絵柄の変化がシンクロしたことで、ファンの視点からはそれがリョウの「成長」として映ったのではないでしょうか。
画集2より。LOVERSRAINサウンドトラックCDジャケットイラスト。
んで、ラバレでは完全に美青年。リョウとアニスのラブストーリーという主題と、当時がバブル全盛期だったことを考えると、こういうデザインになるのは必然だったのかも知れません。でもラバレアニスの服装はバブリーで今見るとキツイ。
ブルーレイBOXのインナージャケットより。チャックが話題になりがちでリョウはあまり云われてませんが、一周回ってシンプルな顔立ちになったような。
リョウに関しては、どれだけ絵柄が変わっても菊池氏の中で響リョウというキャラが成立してて、そこは一貫しててブレてない印象を受けます。だからチャックほどには悲しまれてないのかも知れません。失礼なと云われてもね、チャックはねえ…ねえ…。
個人的にフェイバリットなリョウのイラスト。
画集1より。ビデオ「ベストセレクション」特典ポスター。
菊池氏もお気に入りっぽいヒロイックファンタジー風なリョウ。アニスに偏ることなく、リョウという“ヒーロー”にきっちり手を入れ続けたのも菊池ビジュアルの良い点。
ついったのヘッダーに使わせてもらってるLD-BOX2のイラスト。この当時の絵はいろいろ云われますが、これはめっちゃ好きです。BOX1のイラストは、まだデジタルの印刷技術が進んでなかったからだと思うのですが色合いがしょっぱすぎる。キャラの顔が全員マジイエローで勿体ない。
既出ですが単品LDの1巻目イラスト。このリョウが至高すぎていまだに(お絵描き面で)追いつかない。顔のパーツのバランスの取り方が難しいんですよ。しかしジリオンの後藤キャラはもっと難しくてどうなってるの80年代後半。よしかずさんが努力不足なだけですよそうだね!(倒)
これにてリョウ誕3はおしまい。アフターぼちぼち取り掛かります。