スマホの機種変に思ったより手間取り、更新のネタがなかなか練れませんでした(;´Д`)とりあえず忙中閑ありな時に見ていた、ボーグマンスタッフ関連のアニメの感想をつらつらと。これらを土台にしないと語りにくいことも出てきてしまったので、ざっくりとでも目を通していただければ。思うところを並べるだけなので、作品に関する概要等はwikiで確認して下さい。ボーグマン以外のカテゴリ使うの久しぶりや…。
【マシンロボ クロノスの大逆襲】
全47話という長丁場でありながら各話ともそこそこの面白さを保ち(さすがに作画は粗いですが)、後半のロボット大戦争を経てラストをきちんと締めた佳作という印象。敵対組織のギャンドラーは憎たらしいけど味がある一味で、ここはボーグマンに継承されて欲しかった。弱気になってパパと霊界チャネリングで会話したり超ブラコン妹に振り回されたりする主人公のロム・ストールのキャラ造形は、井上和彦氏の演技も相まって魅力的に仕上がっておりました。「バァァイカンフゥッ!(ビシィ)」は本当にクセになりますた。
しかし、作品の何でもアリなカオスなノリと同時にスタッフが暴走していったのが、ヒロインであるロムの妹・レイナの描写。回を重ねていくごとに、スタッフの寵愛を一身に受ける存在となっていったのは明かなレイナですが、ボーグマンのシンジが可愛く思えてくるぐらいの地獄のトラブルメーカーぶりに戦慄せずにいられませんでした。それでも「可愛いは正義」で許されるギリギリのラインを保てたのは奇跡としか思えません。
各話の脚本的なクオリティや、伏線の張り方など園田氏はいい仕事したと思います。吉田浩監督がどこまで園田氏を容認したのかがとても気になりますが。クロノスで得たノウハウをボーグマンに持ち込もうとしたら、根岸監督は吉田監督のように寛容ではなく、夏目想太郎をはじめとするアイディアをことごとく「否定」された。そう思えてしまうので。
さらに、88年に入ってもレイナが人気を保ち続けたのと同時に、アニスがレイナ以上の可能性を秘めた人気キャラクターになったことで、園田氏はアニスに「第二のレイナ」の期待を抱いてしまった。剣狼伝説でレイナを囲い込んだように、アニスを取り込もうとしてやはり根岸監督に阻まれてしまった。園田氏にとって、ボーグマンはドラマCD以外はまるで思い通りにならない作品であったことを確信できる、クロノスの大逆襲はそういう作品でした。
あと、レイナとは真逆の「戦うヒロイン」として登場して人気を博し、「守られるヒロイン」の時代に引導を渡したジリオンのアップルは、(水谷優子さんが演じたことも含めて)クロノススタッフに衝撃を与えたのではないかと邪推してます。それが後にアニスに影響を及ぼしたとも。ロム兄さんが井上ヒーローのテンプレートだったのに対して、チャンプは名バイプレーヤーとして井上氏のキャリアに影響を与えたことにも思うところがあって、チャックはその産物だったのではとか妄想したり。
【レイナ 剣狼伝説】
クロノススタッフのレイナに対する“真剣な邪念”の結晶みたいなOAV。というか、スタッフはクロノスに宿命的に付き纏った「子供向け」「玩具」の要素が邪魔で仕方なく、はやくOAVでそのしがらみから開放されたかったのかとすら思えてしまったり。
クロノスのラストで人間の姿を得て、地球に「転生」したレイナの数奇な運命が描かれていくんですが、なんやかんやでいつもの姿で(しかしかつての仲間は全員人間化)クロノス星に戻り、クロノスのラスボスだったガデス様よりおつよぉいな魔導士バルトゥンと戦うことに。その過程でロムがレイナを庇って斃れるというショッキングなクライマックスが待っている訳ですが、クロノスではひたすら足手まといで非力なヒロインだったレイナが、ロムの死を乗り越えて単独でバルトゥンを倒すという結末は、正直ボーグマンクラスタとしてゾっとさせられました。
とにかくすべての中心にレイナが据えられている世界観で、ロムの死、クロノスの「顔」であったバイカンフーの闇落ち、ロムと共にレイナを守り死地を潜り抜けてきた仲間たちはモブ状態と、すべてがレイナを輝かせるためのパーツとして処理されており、「クロノスの大逆襲」で培ったものを全部ひっくり返した上にレイナを立たせている。そういう意味では非常に悪質な作品ですが、レイナたんをペロペロできればそれでいいお!(^ω^)というアニオタ「だけ」をターゲットにしていたなら間違ってない。むしろ、悲しみの中から立ち上がりバルトゥンに一矢報いるレイナの反撃の演出は神がかり的で、傑作といっていいレベルなんですよ。
この辺は当時のOAV事情(ビデオが一万円越えする高級アイテム)、まだキャラクタービジネスが確立していなかった(スト2の春麗ブーム以前)ことを考慮しないと、一概に批判できないとも思ってますが、剣狼自体が園田氏の脚本ありきだったことを考えると、ボーグマンで主導権を握るようなことがもしあったとしたら、アニスのためにどれだけの要素を「否定」し排除したのか。想像するだけでも恐ろしいです。そういう意味で、ボーグマン本編の後半以降、園田氏を遠ざけた根岸監督に改めて感謝の念を強めずにいられない作品でした。
余談ですが、園田氏のコラムや小説のあとがきそのまんまなご高説を、女子高生レイナとタイラントに垂れ流させている1話が(作画や演出のクオリティの高さやレイナの可憐さはさておいても)大嫌いです。園田氏の独壇場すぎて胸が悪い。Pは何で野放しにしたの。
【ライトニングトラップ Leina & Laika】
剣狼とあんまり(まったく?)関係のないレイナ主役のOAV。当時のアニメージュのレビューであさりよしとお先生が脚本を悪し様に罵っていた記憶があったり、今も尚誉め言葉を聞いたことがない作品ですが、ライカが本来アニスであることを踏まえると、ボーグマンクラスタ的には収穫はなくもありませんでした。
確かに脚本は素人かというぐらいにお粗末でしたが(小説はまだマシ)、当時菊池氏の中でブームだったであろう森高千里をモチーフにしたライカの作画はなかなか艶っぽく、そこは楽しめました。鷹森さんもナディアに染まる前のアニス声でしたし。
しかしレイナ(麗奈)はクライマックスでライカを助けた以外特にええとこもなく、彼女をウリにする気が本当にあったのか。これに関しては一番舐めてはいけなかったレイナたんペロペロなオタクを甘く見過ぎたなと。
「レイナVSアニス」の企画や小説版含めて、後日じっくり「アニスの名残」を採り上げますが、レイナとライカを影で支えた少年・リョウが意外に興味深い存在だったことを一応。
鷹森ボイスで「リョウ」と呼ばせたいだけの子かと思ってたんですが、キャラメイクから「響リョウの子供時代」を意識した節が感じられ、そういう目で見ると萌えられないこともなく。もしかしたら「レイナVSアニス」の段階ではリョウの登場も考えられていて、リョウ君はその名残だったりしたのかと思ったり。
【冥王計画ゼオライマー】
大抵の方はボーグマンとセットで通過していると思われる、説明不要の菊池作画120%OAV。
「菊池キャラサイコーだったろ!? ロボットバトルサイコーだったろ!? 山形ユキオさんの歌声サイコーだったろ!? でももう収拾つかないから全員ころすねバイバイ!」というのが当時の印象で、安易な終わらせ方しくさって結局世界規模に迷惑な自作自演バトルじゃんかと冷めたんですが、見直すとそうでもなかったです。1-2話の登場人物の誰にも共感できない息苦しさは今でもやっぱり馴染めませんでしたが、3-4話は個人的な嗜好の部分でハマったというか、オタこじらせた年寄りになってやっと腑に落ちた感。3話のローズセラヴィーがめっちゃ好き。
木原マサキの野望の駒だったマサトと幽羅帝が、自らの意志で内なるマサキを拒絶し、それを貫くには互いの意志を合わせる(=自決)しかなかった。ということだったのねと。マサキの拒絶に成功したところで、秋津マサトという普通の少年にもう戻れない。崩れた自己を前に「僕は…誰だ?」と吐露するマサトの演技に圧倒されました。関さん上手かったんだなあ(失礼な)。
各キャラの掘り下げの甘さを演出で押し切った感はあるんですが(沖さん何で最後であんなに綺麗になってんのとか)、それは脚本の会川氏の若さ故で、それ以上を求めてはいけない作品だったのかなーと。当時では充分及第点取ってる内容ですね。
まあでも、ちょっとチートすぎますよねマサキ。遺伝子いじって個人の恋愛事情まで干渉できるってどんな変態なの。美久なんて変態じゃなきゃ創造できないしヽ(´ー`)ノ科学者じゃなく、エログロバイオレンス上等でSNSをしょっちゅう炎上させてもへっちゃらな漫画家かライトノベル作家にでもなっていれば平和だったのにねえ。そんな問題か。
上記の作品は全部dアニメストアで視聴可能です。ただしゼオライマーはdアニの都合なのか、1話の幽羅帝と大爬のえっちシーンはカットされてます。大事なことだと思うので書いておきました(事務的な顔で)。
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