2019年11月05日

【30周年】ここが変だよ! ラストバトル解答編その2。

プライベートでしばらくバタバタしそうで、更新作業する心の余裕ができるのにちょっと時間かかるかもです(;´Д`)病院いやや…。
今回もラストバトルですが、以降はちょい棚上げして別のネタをやるかも知れません。書くより描くモードなので。

ラストバトルを見直す度に目に付いて仕方ないのは、エピソードの作り込みの浅さと繋ぎの甘さだったりします。唐突にリョウと痴話喧嘩をはじめて一方的にメガロシティに戻ってしまうアニスのくだりや、ヘブンズゲートの地下に侵入した(アニスがああも簡単に潜入できたのは、火鷹がそう仕向けたんですかね)アニスを捕えた後の火鷹の納得できる点が何ひとつないサイボーグ演説、メガロシティ到着まで、前半ほとんど自分の意志で行動しない(ハッサンに決められている)リョウのヘッポコぶりがそうですけど、なんでこういうことになったのか。

あくまで推論ですけど、根岸監督が要所に「描きたい場面」を配置し、それに合わせてキャラクターを動かしていたからと思われます。
これ、実はTVシリーズの最終回もそういう構成になってます。リョウが崩壊後のメガロシティの未来を担うのは子供(生徒)たちである、とシンジを諭す場面、それを描きたいがためにシンジはまずサイソニック学園への帰還を「拒否する」役目を負わされた。この状況下ではシンジは無力な子供であり、足手まとい以外の何者でもない。それをこの期に及んで自覚させない。「リョウの教師としての成長」の描写と引き換えに、シンジに損な役回りをさせちゃってるんです。
「俺たちは教師さ!」の後にリョウとチャックに抱き着くアニスも然り。ここは問題なく名場面ですが、レミニスの下に逝ったことを示したあの1カットのためにメモリーは斃れ、響先生たちの帰還を信じてサイソニック学園に戻ってきたはずのシンジは、彼らの死を示唆するような言動行動でモーリーたちの不安を煽った訳で、これもあのラストシーン「先生!」のための「溜め」として、シンジにああいう迷惑千万な行動をさせたんですよね。

最終回だから許されたようなものの、シンジは根岸監督が心血注いで打ち上げた「最終回」という花火を彩る、都合のいい材料にされた面はあると思います。シンジのこういう使われ方に関しては、また後日採り上げたい要素。

で、ラストバトルですが、正直これ岸間氏の意向よりも、根岸監督(とプロデューサー?)が入れておきたい要素ありきの脚本ではないかと思うのです。ラバレが村山&菊池両氏の描きたい要素ありきで、園田氏の意向がほとんど感じられなかったのと同様に、岸間氏もアフリカ設定の脚本が総ボツになりNASA設定になった時点で、根岸監督の意向を脚本に起こすに留めたんじゃないでしょうか。岸間氏のボーグマンへの思い入れは、アフリカ前提のプロットでないと活かされないものだったんでしょう。そう考えれば、岸間氏らしからぬキャラ描写の雑さも納得いくかなと。

ラストバトルで特に「場面ありき」を感じるのは、

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アニスがリョウに愛想を尽かしてもらわないと話が進まないので、リョウにアニスの頼みをあっさり断らせました。ハッサンにも手伝ってもらいました。というか俺がハッサンだ。

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火鷹の「ぼくのかんがえたすっごいボーグマンけいかく」をアニスに否定させるために、アニスに「サイボーグそのものを否定」させました。
これ、ラストバトル最大の地雷で下手すれば本編のテーマすら否定しかねない、監督もスタッフもどうして見落としたの? な、不可解な場面になってます。これに関しては後日別記事を立ててねっちりしっかりやります。

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今は恋人となったアニスのために、リョウに最上階まで階段を駆け上がってもらいました。アニスへの愛の力で走れリョウ! バーニア? 知らない子ですねえ。

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このまま順当に行けばリョウはオメガに勝ってましたが、アニスに花を持たせたいのでうっかり踏まれてもらいました。プログラムの解除ができない! よしラブパワーで計器破壊そして勝利! TVシリーズでは空気銃レベルだったソニックガン(旧名ジリオン)の見せ場も作ったよやったねリョウ!

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私のために酷い目に遭わせてごめんねリョウでも私よりロケットを選んだことは許してないので私は私の道を行きます見送りにも行かないわよ。
かーらーのー、座席で待ってました!(脚本&演出:ジェダ・ハッサン)監督含めスタッフ渾身のアニス最高の笑顔でボーグマン完結!

こんな具合で、「アニスのこんな姿あんな見せ場」が優先で、ストーリーはその後についてこさせればいい、という構成だったんじゃないでしょうか。前にも書きましたが、シンプルなストーリーゆえに、ボーグマンに思い入れのない視聴者には比較的見やすい「近未来SFアクションOAV」として成立しているものの、ファンがボーグマンの後日談に期待した要素はあまり入っておらず、根岸監督は「ボーグマンの続編にお金を出すファン」をどう想定していたのか。このちぐはぐさは3人いたプロデューサーも影響してるんじゃないかと思うので(特に剣狼やボーグマン2にも関わっている加藤Pが引っかかる)、根岸監督だけの責任とも思えないんですけどね。ただ、「本橋アニスでもアニスの出番を増やして彼女をしっかり描けばファンは納得してくれる」と思っていたのなら、そもそもそれが大誤算だったんだろうなと。

また次回更新まで間が空くと思います。スミマセン。
posted by はらよしかず at 19:13| ボーグマン