2020年04月14日

【ついに】好き好きモーリーちゃんスペシャル【32周年】

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去年の今頃は、まさか世間がこんな未曽有の事態になるとは微塵も思わなかった訳でモチベもいまいち上がらない上に、非常事態宣言? どこの時空のハナシ? というぐらいに個人的にはクソ忙しく、疲労感はトモダチこわくない! 鬱陶しいわ! という荒み具合ですが、やはりやることはやっておきたいという思いが強かったので。今月中にもういっこネタを用意したい。あとジリオン33周年でちょろっとやりたいこともあったり。ジリオンはそろそろカテ作ろうかなーと思ったり思わなかったり。

さて本題。視聴と当時の資料に当たっていくうちに、もしかしたら制作側にはアニスよりも愛されていたのでは? と思うモーリー・ラングォルドちゃん特集です。アニスがさほど注目されてなかった放映前の雑誌媒体での採り上げられ方や、菊池氏のコメントからしてもモーリーに対する期待と気合いはかなり高かったのではないかと思われます。スタッフ的にはジリオンのアップルポジに据えた「戦うヒロイン」のアニスではなく、「守られるヒロイン」であるモーリーに「受ける要素」を込める狙いがあったんじゃないでしょうか。
実際本編もモーリーに関しては全編に渡って可愛い場面しかないと云っていいぐらい、演出が行き届いているんですよね。アニスもそれは同じなんですが、マスコット的な愛らしさという意味ではさすがにモーリーに及んでなかったので。

そして、モーリーは脚本家それぞれの解釈の違いが(いい意味で)楽しめるキャラクターでもあります。今回はそこを紹介。脚本家名は敬称略とさせていただきます。

【園田英樹】


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園田脚本のモーリーメイン回と云えば8話。花壇作りに奮闘し、花の妖精のリドリアを素直に信じる純粋さを秘めたオーソドックスな美少女ぶりで、(園田回に関しては)これは最後まで変わりませんでした。11話のグレイタウンの少年たちとの交流で、好奇心とも心配とも取れる態度は園田氏でなければ描かなかった一面でしょう。園田氏は子供の描写に関しては文句ないんですけどね…。
28話等、園田氏的には「花を愛する健気で優しい女の子」で、レイコ&サトミの友達コンビともっとセットで出したかったんじゃないかと、8話を見直して思ったのでした。結局シンジとセットになっちゃったからねえ。子供たちの横の広がりや交流による掘り下げが足りなかったのもボーグマンの残念なところ。ここは園田氏の責任じゃないと思いますが。
そういえば初期設定では、モーリーは夏目想太郎(リョウ)に恋心を抱く設定でしたが、意外にも園田回ではそれはオミットされてました。ドラマCDで蒸し返したのは三条陸氏のネタ出しに乗ったのと、アニスへの未練でしょうな。

【岸間信明】

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園田氏がモーリーを年相応の女子小学生としていたのに対し、そこにちょっとした小悪魔要素を入れてきたのが岸間脚本。岸間氏的には恋に恋する的な、異性への興味を見せたかったのではないかと思えます。17話でチャック先生のパパラッチよりシンジと一緒にナイトメアシアターを楽しみたいと云い出したり、22話のようにシンジと積極的に行動を共にしていながら響先生への思慕を隠さなくなったりと、ワルい女の顔を見せていたことにそれらは窺えます。ただ、22話はシンジとの「小さな恋のメロディ」路線なのか、響先生への恋心に目覚めていく(リョウとアニスの関係の変化の布石)のか決めかねていたせいで、ああいう描き方になったのかも知れませんけど。
しかしそれでも22話のモーリーの猛攻はすごい。キャンプで作るカレーの味付けがそんなすごいとも思いませんけど(おい)、オトコなんか胃袋を掴んでしまえばこっちのもんと云わんばかりのアピールは、自分こそが約束された勝利の良妻であると知らしめる行いであり、アニスがあそこでドス黒いオーラを出していなかったら、リョウはどさくさで将来を約束させられていたのではないだらうか。「これからもアタシがずーっと先生に美味しい料理作ってあげるね(はぁと)」「あ、ああ、よろしく…(えっ?)」
ちょっと残念なのは、打ち切りの影響なのか22話以降はリョウへの思慕は描かれることなく、シンジの心配ばかりさせられるようになったことです。もうそういうところに尺を割けないので、シンジでいいんじゃないかということだったのか。

【会川昇】


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「健気で優しい娘」という基本的なところは押さえながらも、独自にモーリーの愛らしさを追求したのではないかと思えるのが会川脚本。岸間脚本のような小悪魔ちっくなところはなく、異性をクールな目で見る大人びた面と、10話のシロウ君(50)の陰のある振舞いに戸惑ったりする少女の面を描いたりするなど、モーリーという「女子小学生ヒロイン」を模索し楽しんで描いていたのではと思えます。
10話のシロウの天然に「じれったいわね」とはっきり云いつつ世話を焼いたり、16話でチャック先生ではなく撮影機材を見たかっただけ、と云うトオルに「かわいくなぁい…」と無表情で返したり乱堂と弁当のおかずを取り合うリョウに「先生子供みたい」と静かにツッコむなどの、デフォルトで精神年齢の高さをうかがわせるモーリーは会川氏しか描かなかったんじゃないでしょうか。アニスやメモリー、美姫もクールな面が強かったことからも、会川氏はボーグマンの女性キャラは基本そういう風に捉えていたのかも知れません。19話でそっくりさんロボをもやすという蛮行も会川氏しかやりませんでしたけどね!
反面、10話でシロウと一緒にはしゃいだり23話でシンジに拾った石を取られてぷりぷり怒ったりと、年相応な面もしっかり描いていて、それがいいカンジにギャップになったと思います。

3人の脚本家それぞれの「ぼくのかんがえたすっごいかわいいモーリー」が破綻なくキャラに収まっていたのは、ボーグマンのいいところだったんじゃないでしょうか。根岸監督はラストバトルFC会報で、お気に入りのキャラにモーリーを挙げてらしたので、監督の手も充分に入っていたのでしょう。菊池ビジュアルは云わずもがな。マジカルエミ等の魔法少女作品で培ったものを込めたお気に入りだったのは、雑誌媒体で頻繁に語られていましたよね。本編で描かれることのないぱんちゅのプリントがメロンということまでしっかり設定なさってましたしね!ヽ(´ー`)ノ

そんな32周年更新でした。
あまり間を置かずに第二弾やりたいですが、仕事が落ち着く気配がないので自信はないです。液タブ楽しいのでもっとお絵描きもしたい。
posted by はらよしかず at 18:50| ボーグマン