2020年02月07日

【遅刻】アニス・ファーム生誕祭【ブログ5年目突入】

…5年? え? 5年目なの? まだやってないこと山盛りなのに? と我ながら素で驚きましたがそれはともかく。日帰り手術で右の頤にブラックジャック張りの縫合をされて週明けの抜糸までイテェイテェな状態だったりなんやかんやで忙しく、当日はついったで精一杯だったアニス誕でございます。今回は作画監督別に見るアニスの傾向と対策です。個人名は敬称略とさせていただきます。菊池氏のアニスだけがアニスじゃないよ、ということで前からやってみたかったんですよね。リョウ誕とチャック誕でもやろうかな。


【工藤征輝】


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1話、22話、34話と、ボーグマンで印象に残る回を担当。キャラは全体的にややシャープかつ骨太な印象。工藤作監の本領はアニスのバルテクターにあると思います。

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時々アレンジが加わるバルテクターのバスト部分や骨盤周りにこだわりが感じられ、独特の色気が漂ってます。ヒロピン属性の方に受けがいい回は高確率で工藤作監じゃないかと勝手に思っていたり。


【川筋豊】


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4話、17話、23話とモーリーと美姫が美味しく、作画面でも気合いが感じられる回を担当。アニスに関しては前述の2人程思い入れがなかったのか、どうもイマイチだったんですが、優秀な原画陣が揃い始めた後半からは安定。29話はなかなか神作画でオススメですよ。

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【野中みゆき】


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8話、15話、19話等を担当。キャラ表に沿った作画でしたが、リョウのモミアゲが妙に長いのが特徴(そんな)。どのキャラもマイルドな雰囲気を持っていて、アニスのふわっとしたボディラインを上手く表現されていたと思います。

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【池田好美】


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リョウがギャル化乱堂もイケメンにしてしまう超安定作監ですが、湖川キャラを彷彿とさせる画風だったので(お弟子さんだったのかしら)、キャラ表からはちと離れたものになってましたね。まあ当時のアニメでは珍しくもなんともないというか、そんなこと云ってたらクロノスは毎回ストール兄妹の顔が違ってましたしヽ(´ー`)ノ

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アニスは可愛いというより美人という印象。池田作監ならではのポイントがココ。

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アニスの襟足が見える作画は池田さんだけなんですよね。ただ、ポニテならともかくハーフアップでこういう見え方は難しいと思うんですが色っぽいは正義(終了)。


【本橋秀之】


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最終回を担当し、根岸監督から最も信頼されたと思われる作画監督。ゴットマーズのイメージからかラストバトルの起用からか、ボーグマンではあまり評価されてない気がする本橋氏ですが、安定という点ではトップクラスじゃなかったかと。コミカルな場面等、表情のバリエーションの広げ方は熟練ならではですし、キャラクターの掘り下げにも一役買ったと思います。

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ここからは単発の作監。


【只野和子】


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唯一のスタジオライブ回となった27話の作画監督。ぬーたいぷだったか、アニメーターのコメントコーナーで只野氏は27話以降も何回か作監を予定と語られていましたが結局27話のみだったのは残念。同時期で佳境だったはずのワタルに行ったのかしら。
どの作監よりもキャラ表に近く、尚且つ表情の付け方の解釈も素晴らしい。ぶっちゃけ菊池氏よりもキャラ表から広げた作画を成せていたのではないでしょうか。菊池氏が劣っているという意味合いではなく、絵の変化のせいでキャラ表に似なくなっていたのは確かなので。


【松尾慎】


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云うまでもなく13話の作画監督。松尾氏も13話以降レギュラーで作画監督を務める予定だったのが、諸事情で泣く泣くヴィナス戦記に行ったと「80年代スーパーロボットアニメ秘話」にありました。残念なハナシですが、松尾氏だとアクションに特化されすぎてて、22話みたいな日常回のキャラの芝居に対応できたかはちっと疑問。
アニスの出番は非常に少なかったのですが、菊池キャラから離れまくった「松尾アニス」として成立していてインパクトあります。

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という訳でアニス誕でした。今年はプライベートとボーグマンで山積みの宿題と向き合う所存(主に二次創作)なので、更新頻度は非常に遅くなります。まったりお付き合い下さると幸いです。まだまだ何かやれそな感じなのが我ながら恐ろしい。まず資料の整理しないとなあ…。
ついったでは思いつくまま何かやってると思います。
posted by はらよしかず at 18:56| ボーグマン

2020年01月21日

ANICE in Wonderland簡易レビュー・補足

補足と云うか雑談。アニス本は通販で2回ほど在庫切れになったようで、あのキャラブックシリーズでも上位の売れ方したのかしら。由貴はすぐなくなったようですが。菊池名義のキャラということもあるんでしょうけど、アニスだけ(漢字一文字のタイトル等)コンセプトが他のキャラと違ってるので、もしかしたら2もあり得るのかなと勝手に思っている次第です。アレだ、次があったらバルテクターでパンチラ(どうやって)。

前回の記事で菊池氏の「真面目な姿勢」に触れましたが、それが如実に表れているのがアニスの変身バンクだと思います。



バルテクターの「分割された各パーツがボーグマンに装着されていく」というプロセス、この「分割」に大畑氏も関わっていると思うのですが、これを基に菊池氏は絵コンテ&演出担当の羽原氏と共に作業を進められたと思います。そこはブルーレイBOXのインタビューでも触れておりましたし。胸の原画は菊池氏本人が手掛けられたことも明言されておられます。
アニスのバルテクターの胴体のパーツと胸のパーツが合体する過程で、胴体のパーツが胸に密着し、押し上げられるのは物理的に当然として菊池氏は原画を起こされた。こここそが菊池氏の「真面目」な点で、あくまで「装着される動きをきちんと考えたらそうなるのは当たり前」と捉えていて、胸プニはその副産物でしかなかった。これがもし「アニスたんのおっぱいを動かしちゃうゾgff」という邪心ありきだったら、下品なものになってしまい今日に至るまでの「伝説」にはならなかったのではないでしょうか。
二次裏やごちゃんで何度か聞きかじったソース不明のハナシでは、菊池氏は「描いてみたけどどうせ動かないだろう」と期待しないで胸の原画を起こしたら、動画陣が超頑張ってあの胸プニが誕生したそうで(原画集辺りに事情が載ってるのかしら)、本当なら(いやガセであったとしても)スタッフに神が降りていたのですね。すけべえなヽ(´ー`)ノ
まあ一番の神は羽原氏となる訳ですが、羽原氏も露骨なお色気描写を避ける傾向にあったようなので(レイナも控えめだったし)、伝説は生まれるべくして生まれたということになるのでしょう。
大畑氏によるバルテクターの分割設定、あったら見てみたかったですね。バルテクターの設定はかなり作り込まれていたようなので。

あとこれも。

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ラバレBパート、リョウがイワーク(違う)妖魔からアニスを救出した際のショット。よしかずさんはオッサンなので、もしかしたら見えてるんじゃないかとコマ送りしたら見えてませんでした。Aパートでパンチラサービスしたとはいえ「見えなくていいところで見せるようなサービスはしません」というスタンスだったことが、ここにも窺えると思います。「見えても良かったら見せるけど、見える必要がないなら絶対に見せない」は全盛期のるーみっく作品もそうなんじゃないでしょうか。

本当に推論ですが、菊池氏はボーグマンと同時期に連載が始まっていたサイレントメビウスのメディアミックス戦略等で、(麻宮名義を含めた)自身のブランド化を目論んでいて、「アニスの胸プニ」など、エッチなイメージが定着するのを避けたかったのもあったんじゃないかと。ぬーたいぷのダストジードのイラストとか、女性のアニメファンの取り込みも意識されてたと思いますし。
アニス人気が出た後の、菊池氏のインタビューやコメントを読む限り、変身バンクのその部分がピックアップされがちなことに対する遺憾を感じるものもありましたし、自身のボーグマン仕事に対する正当な評価が、アニス人気に覆われて見えづらかったのかなとも思ったり。根岸監督からも本編終盤からある意味「否定」されちゃいましたしねえ。ゼオライマーの美久の方に思い入れがあったのも、アニスのような先入観を持たれない、菊池色100%の美少女ヒロインだったからかも知れないと、いま思いました。原作の美久からはリボンを拝借したのみでしたっけ?

本当はヘルシングのセラスとかFateの凛とか、「アニスの遺伝子」を感じるミニスカニーソヒロインの話までしたかったのですがここまで。画像も用意したんですがMPが切れました。そこから蒸気の鈴々まで語りたかったんだけどなー。
今後の更新ですが、次回はアニス誕まで潜ります。以降も更新頻度は落ちると思います。
どっかで落ち着くだろうと思っていた仕事がまったく楽にならず、毎度帰宅したらヘロッヘロになって、平日は基本ご飯食べて風呂入って寝るだけライフなもんで(;´Д`)今年は細く長くというカンジになると思います。しかし密度は減らさないようにしたいです。
posted by はらよしかず at 21:35| ボーグマン

2020年01月14日

【本家の】ANICE in Wonderland簡易レビュー【底力】

全然違うことをやるつもりでテキストを進めていた矢先に、通販申し込んでいたアニス本が到着したのでそらソッチをやらん訳にはいきませんわな。いや発送まで1週間は見といた方がいいかなと思ったらすぐ届いたので。新年一発目の更新で新ネタがやれる喜びよ。

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通販の詳細はここ。
保存用まで購入はオタクのたしなみ。だからいつまでもお部屋が片付かないんですよよしかずさん。

さて本題。同人誌なので宣伝の後押しになればという感じで。前述の通販サイトでサンプルが掲載されているので、そこで内容を確認されてからお読みください。

アニスを含め、ボーグマンはどうしても麻宮(菊池)氏の絵の変化が悲喜こもごもを呼び込んでしまうのですが、今回のこの1冊、80年代後半〜90年代前半の菊池絵こそ至高な懐古派も今の絵も好きだよ派も問答無用でねじ伏せる、生みの親が繰り出す、いや生みの親にしか繰り出せない一撃が込められた内容となっております。正直、ここまでやられたら黙って頭を垂れるしかない。

サンプルの時点でお察しですが、ぱんつそしてぱんつ(+α)です。なぜこんなにぱんつなのか、というシチュへの疑問から「そのぱんつに至るまで」の想像を喚起させる構成が非常に上手く、18禁なエロ描写は一切ないにも関わらず、今まで発表されてきたアニスのうすいえっちな本は道を開けろな、エロスに満ちた1冊となってます。

そもそもアニスのタイトミニスカ+ニーソックスは菊池氏の考案によるものなのは云うまでもありませんが、その「アニスのコスチュームなら誰よりも分かっている」方が、「ここがこうなったりアニスがこういうことをすればぱんつは見えます。ニーソックスもこうなります」を画で実践した訳で、さらにはぱんつが見えたら何でもいいでしょ? という志の低いことをせず、「アニスならどういう下着を身に付けるか」をきっちり考え選び抜いたことも窺える。それらを「こういうのが見たかったんでしょう?」と至極真面目な顔でお出しされてしまったら、画風の変化云々などは些末なこととなり、「ありがとう…ございます…!」と拝礼して受け取るしかありません。

わたしがこの本で甚く感じ入ったのは、画風がどれだけ変化しても、女性の描写に対する「真面目」な姿勢は一貫していたことが、「最新の」アニスを通じて窺えた点です。
ボーグマンやゼオライマー、サイメビコンパイラを含めた全盛期、それ以前の作風から感じていたことですが、麻宮&菊池氏は女性の肢体へのこわだりを隠さない一方で、下品になることを嫌っていたのではないでしょうか(たぶん照れもあったと思うのですが)。
サイメビのAMPの制服のストイックなデザイン、ゼオライマーの幽羅帝と颱爬のベッドシーンや美久の全裸に、それらは窺えていたと思います。平野監督のエロ描写って結構ねちっとしていたので、ゼオライマーのアレがほどほど加減だったのは菊池氏の技だと思ってるんですが。
ぬーたいぷで発表されたアニスの版権イラスト、ドスケベ水着にせよすっぽんぽんポスターにせよ、菊池氏的にエロの領域になる手前で線を引いて、そこを越えないように心がけていらっしゃったんじゃないかと。それでも「どうして!? どうしてそう変な方向にばかり思い切りがいいのよ!?」(画像略)感はありましたけど。

あとサイメビ7巻で丸々描き下ろされた香津美とロイのベッドシーン、あれも読者サービスとかそういうことでなく、「ぼくのかんがえたすっごいラブイチャセックス」に超真面目に取り組まれただけで、むしろエロくならないように描かれたんじゃないかと。あれは物語的に重要な場面だったはずですしねえ。余談ですけど、後に香津美が由貴に受胎を告げられた場面、結構好きですよ。あの瞬間のためのあのラブシーンだったはずだし。
前述のゼオライマーのベッドシーンも菊池氏的には「永遠の別離待ったなしのカップルが最後に愛し合う」哀しい場面で、単なるサービスで終わらせたくなかったんでしょう。

(ドラマガコミックス版)サイメビ8巻から。レビアが悪堕ち香津美に嬲られる場面のヒトコマ。
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実はここ、読み返した際に非常に感銘を受けたんですよオッサンだから。あんな風に服を割かれたら下着も割かれるだろう。ブラジャーも割かれたら乳房がこぼれてしまいます!(長男ステイ)と必然的に乳首が見える過程にこだわり、そして割かれたブラジャーの裏側を丁寧に描写することで、レビアのランジェリーの情報を提示し、「つい先刻までレビアのおっぱいに密着していた」リアルまで醸したんですよ。

この「真面目」さこそ、麻宮&菊池氏の女性キャラが持つ色香の根源じゃないでしょうか。おそらくToLOVEるやゆらぎ荘のような、主人公がすっ転んだだけで女の子のちちしりふとももコンニチワな男子の願望で作動するピタゴラスイッチを良しとせず、ちちしりふとももが見えるなら見えるまでの過程がまず必要、という主義なのではないかと、アニス本を拝見して思った次第です。

アニス本は「なんでそうなったのか」「なんでそうなっていくのか」を読者の想像に委ねる形式で過程は描かれていませんが、おそらく麻宮氏の中ではちゃんと状況が考えられていて、その上でシチュを置いていったんじゃないでしょうか。実際知らんけど(えっ)。
しかしわたしはずっと、何とか辻褄合わせするための妄想が止まらない哀れな状態なので、それこそ麻宮先生「計画通り(月画像略)」でしょうね。

「やだやだ! やっぱりあの頃の絵じゃなきゃ嫌だい!!」な原理主義な方には強要できませんが(気持ちは分かるし)、それでもボーグマンクラスタにとってマストアイテムだと思うので、在庫がなくなるまでに検討してみても良いのではないかと思います。実際一時的に在庫なくなったようですし、迷っているだけならさっさとぽちるのが吉です。背中は押しましたよ?
まあ、TVシリーズ当時の画風が田村英樹フォロワーで、そこに独自のエッセンスを垂らしていたのに対して、今の画風はリアル女性のプロポーションに二次元のデフォルメをピンポイントで盛っているカンジなので、好き好きになっちゃうのは避けられないですねえ。
今回の色指定と塗りはとても好きなので、ブルーレイBOXのジャケ絵の評判が芳しくないのは、中山久美子さんの色指定が(あの時点での画風に)合わなくなっていたからかなあとちょっと思いました。正直色の置き方が少々くどいかなと思ってたし。おっとチャックの話はよすんだ。

個人的にはこういうところも必見だと思います。
(サンプルで紹介されている画像と同じもののトリミング引用ですが、問題あるようなら削除します)

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TVシリーズ当時では「ニーソ着用」で終わってましたが、現在ではニーソの食い込みというアップデートが成され、ぱんつと同等のこだわりが窺えます。おっぱいに関しては…実際見て確認して下さい、以上のことは云えません。

以上、現場からお伝えしました。後は止まらない妄想の処理をどうにかしたいです…。
posted by はらよしかず at 18:00| ボーグマン

2019年12月31日

【今年最後】会川脚本を振り返る。

奥様例の本はぱんつだらけだそうですわよあら破廉恥な!(ヒソヒソ)どうしてか、ボーグマンイベントの時よりソワソワするマイマインド。いや横田守氏のるーぱー本とか型月の社長の画集とか島本先生の鬼滅本とか、心惹かれる新刊の噂を聞きかじったもので。

それとは関係なく、イベント直前にやったろうかなーと思っていたネタのひとつである会川脚本特集です。園田脚本とどっちにしようか迷ったんですが、それだと(ここ毎度見て下さってる方的には)褒め殺しとしか捉えられず嫌味度が増す気がしたのでヽ(´ー`)ノ
イベントは無事成功しましたし、参加者の方には嫌な顔されそうですが、それでも最終回以外はすべて園田脚本回の上映で、ボーグマンの何が伝わるのか伝えたかったのか、という引っかかりはあるので。口うるさいBBAが何かやってるよ()と流してやって下さい。

作画や演出との兼ね合いもあると思うのですが、見終わった後で印象に残らない話が多かった園田&岸間脚本回に比べ、エッジの効いた内容で何かしら心に残るのが会川脚本回だったと思うのです。これはOAVのテイストを効かせたくて大畑氏と共に会川氏を招いた根岸監督の思惑が当たった形になったと思います。
園田&岸間回は子供たちありきの「先生と生徒」のドラマになりがちだったのに対して、会川脚本は13話以降はボーグマン3人、後半ではメモリーの内面を重視。プロット自体も各話まとまってて、素直に面白く見れるクオリティを保っておりました。ただし(読広の大野氏と日テレの堀越氏が同席している場で)書いたという4話は、ちょっと取っ散らかっていたかも。

未レビューの回が多いので、それは後日じっくりやります。

【4話】最強の敵・ダストジード

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ジリオンで云えばリックスに当たる妖魔最強の戦士・ダストジードの登場に、ロードサンダーの大破、フリッツ博士退場と、「序盤の終わり」に必要な要素が盛り込まれた回。しかし作画はイマイチ、演出ももっさりしており、どうにも魅かれない回になってしまったのが残念。ダストジードの存在感、壊れて沈黙するサンダーの物悲しさは山ちゃんの演技で体裁を保てた印象。
ボーグマンを否定することでしか、自分のメモリーへの想いを表現できなかったフリッツ博士の不器用なツンデレぶりは良かったんですが、メッシュが再度動き始めるまで2年もあったんだからもっと早く口説いておけや! と思わなくもなく。ダストジードはキャラ立てを模索したまま今回はここまで、という感じだったんでしょうか。以降で微妙にキャラ変わっちゃったんですよね。
意固地なフリッツをビンタして「“いま”戦う以外にあの子たちに何がしてやれるのか」と毅然と云い放つメモリーの描写は、27話で活かされることになります。
ボーグマンたちでなければ「今この時」子供を守れない。そこを押し出そうとしてちょっと消化不良になった気がします。

【10話】妖魔兵器! 過去から来た少年

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難病を患い、治療が可能になる未来で目覚めるためにコールドスリープしていた少年・シロウとモーリーの偶然の出会いと心温まる交流、そして別れを描いた物語。単発のエピソードとしては申し分なく、モーリーの愛らしさも良く出ているんですが、会川氏はアニメージュのインタビューで、主題をどこに置いていいのか迷っていた時期の脚本であることを明かしており、ボーグマンでなくても(それこそジリオンでも)成立する話なんですよね。確かに、この回のボーグマン3人のポジションは「教師」なのか「街を守るヒーロー」なのか、どっちつかずな印象は受けます。クライマックスでリョウを差し置いて熱血して美味しいところを持って行くチャックに、この後更に顕著になる会川節の片鱗が見え隠れしております。

【13話】血戦! リョウ最期の日

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云うまでもなくボーグマン屈指の神回。会川氏だけでなく、すごいもの見せてやる! とスタッフ一丸となって制作されたという点では、最終回も凌駕する気迫が込められているんじゃないでしょうか。
困ったことに、わたくしいまだに13話を語るだけの語彙が用意できていません。ただ、ここでリョウとチャック、メモリーの過去が描かれたことで、会川氏が夏目想太郎前提の世界観から脱却し、登場人物に深みが増したことと、次の世代に「夢を託す」ための戦いであることを明示できたせいで、1クール目のような迷走が以降は見られなくなったのは大きかった。それだけ13話が投じたものは、作品にとって重要だったということは記しておきます。
メモリーありきのドラマではなく、リョウとダストジードの対峙に終始した点も重要。メモリーって(23話まで)会川氏にとって物語を構築する上で枷だったのかなあと思ったりします。16話は回想にしか出てこないし。リョウを中心に据えたボーグマンがやりたかったのかなと。
ところでリョウとちょっと連絡取れないだけで、ウロウロソワソワするチャックの心配性ぶりにくさった微笑みが浮かぶのは、ごく自然なことですよね?

【16話】美女の罠! 映画スターチャック大ピンチ

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本来とは別の意味で会川節が最高な回。リョウとチャックの関係の掘り下げが行われたのは、実はこの話だけなんですよ。そういう意味で貴重なエピなんですが、くされなわたくし、見る度にうひぃ! グフゥ! と背中を捩っちゃうぐらいにほもセンサーが反応していけません。美形度マシマシの池田作監だったのも罪深い。
どっちが映画出演にふさわしいかが発端となり、意地を張り合いケンカしてしまうリョウとチャックですが、本当にささやかな諍いで終わって後はふたりの世界でヒロインは空気という、他作品の会川脚本でもデフォルトになっていくほも領域展開がすごく…会川です…(日本語で)。某魔胎伝も、ヒロインの恵ちゃん空気化で南雲と武昭の悲恋物語になっちゃったしね…(一部曲解あり)。
ほもはともかく、クライマックスで「俺たちは奴らと戦うために生まれた!」と云い放つチャックは会川節極まれりすぎて、やりすぎ感すら。いやアンタ本当は宇宙に行くためにボーグマンになりましたやん。
ラストの男2人の掛け合いを見守るアニスとシンジ、という締めが気持ちいい回でもあります。13話で会川氏の中でキャラが出来上がったこともあってか、地に足の着いたキャラ描写をされるようになっていったので、そういう意味でも会川脚本回は安心して見れるようになります。園田氏は終盤まで夏目想太郎を引きずり続け、アニスに過剰に思い入れていったので尚更ですね。

【19話】妖魔都市! 不思議の国のアニス

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レビューやりましたのでそっちで。ぱんつしか語られないのは勿体ないぐらいに、本編ではよくできたエピソードなんですけどねえ。会川氏がアニスをどう解釈し、魅力的に描こうとしていたのか。それがよく分かる回でもあります。

【23話】シンジを救え! 襲われたボーグマン基地

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再燃してからかなり後まで、岸間脚本だと勘違いしていた回。それぐらい会川氏のアクの強さが控えめな珍しい回ですが、会川氏はこのエピで「子供番組」としてのボーグマンを描けた、そういう意味でお気に入りと語っておられます。
4話からこっち、会川氏がほとんど触れなかったメモリーが中心のエピとなってますが、メインはボーグマン基地そしてメカのおさらい。玩具の販促回として見ると、いいカンジにまとまってます。チャックと美姫のフラグもちゃんと立ててるんですよね。
メモリーがボーグマンたちの「司令官」として何を思い、リョウたちも知らないところで何を成してきたか。校長先生としての振舞いも描かれてるので、メモリー回としても秀逸な内容です。

【27話】崩壊の序曲! ギルトライアングルを攻略せよ

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26話から空気がガラっと変わり、終盤に向けてのターニングポイントとなった回。妖魔界で深手を負ったボーグマン3人が、ダストジードに囚われたファントムスワットを救いにスペースブロックへと赴き更なるダメージを受け、ギルトライアングルの降下も止められずに終わるという重いエピソード。バルテクターのブースター機能が初披露されましたが、打ち切りの余波であんまり活用されなかったような。
チャックと美姫、リョウとアニスの関係の転機、教師の仕事を通じて守りたい存在が増え、よりヒーローらしさを増したリョウなど、会川氏でなければ描かなかったであろう場面が盛り込まれてます。28話でこの辺を(脚本家がアニス可愛さに)まるっと無視した流れに持って行ったのは本当に許しがたい。ただ、個々のキャラクターのドラマは秀逸ですが、俯瞰で見るとダストジードのターンすぎる、ダストジードの背後で何が起きているのかが、やや分かりにくいかも知れないですね。

【29話】崩壊の日! メガロシティクライシス

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28話で別方向に持って行かれた流れを引き戻した回。ぶっちゃけ27話&29話でひとつのエピと思った方がいいんじゃないでしょうか。冒頭のリョウとアニスの会話とか、会川氏は主人公とヒロインの恋愛を重視するタイプに見えないせいか、リョウとアニスの関係性を大事にしていたのは意外でした。メガロシティの人々まで守れない。だけど学園内の子供たちだけは守り抜く。そんなメモリーの決意や、シンジとトオルに優しい視線を向け、ダストジードに毅然と挑み続けるリョウのヒーローとしての姿など、会川氏が必要と感じた要素を置いていった感じですね。特にリョウは動かしやすくなってたんじゃないかと思います。松本さんの演技も相乗効果になってたんじゃないでしょうか。


このエピを最後に会川氏はボーグマンの現場から離れますが、会川氏が少しずつ積み上げたダストジードの人物像、「子供たちが夢をかなえられる街に戻すために」戦うというボーグマンの存在意義は、13話で会川氏が明示したことで成立した要素であり、会川氏の功績を抜きにしてボーグマンは語れない。そう思ってます。終盤まで、園田氏も岸間氏もその辺はあまり深追いしてなかったし。両氏が重視したのは生徒たちで、リョウとチャックの「教師」以外の側面は、会川氏に丸投げしていた印象なんですよねえ。岸間氏はダストジードの描写はあんまり上手くなかったし(ボソリ)。

という訳で今年最後の更新でした良いお年を! 来年もこんな調子かな! …かな???
posted by はらよしかず at 18:36| ボーグマン

2019年12月27日

【年末】アニスチャンをさがせ!【小ネタ】

ちょっと予定がズレ込んだので、年内にもいっかい更新することにして今回は小ネタです。ipadのクリスタの設定が進まない…試用版結構面白いので、らくがきぐらいはさらっと描けるようになりたい。

まだご存知でない方もいらっしゃるかも知れないので。



麻宮騎亜先生がコミケでずっと出されているフルカラーキャラクターブックの9冊目にして、とうとう「菊池通隆キャラ」であるアニスが登場します。先日のイベントに合わせたんでしょうか。麻宮キャラ最優先で、菊池名義のキャラは極力回避していくのではと思っていたのでちょっと意外でした。
買いますよ通販で。全盛期だとあり得なかった「麻宮騎亜のアニス」だと思えば感慨深いものがあるじゃないですか。そこ! 云いたいことは分かってますけどブーブー云うもんじゃありませんコミケ行くんなら買いなさい! これがバカ売れしたら次につながるきっかけになるかも知れないんだから! 麻宮騎亜保存会なのにアニスだと食いつき全然違うなとおヘソ曲げる可能性もあるけど!(いい加減にしないと訴えられますよ?)
…いや、コミッションの報告TLで見かけるアニス嫌じゃないですよ? ブルーレイBOXの時より持ち直したと思ってますし。おっぱいが乳袋になったのは許さないけど。まあ絵の変化が麻宮(菊池)氏のアイデンティティなら、一周回って元の絵に戻らないかなあと思ってなくもないですが。

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先日だらけ行った時の収穫のひとつ。表紙が「この俺よりもトーンを!」な憑依系の方ではなく、それを叫んだご本人と確信したので買ってみたんですが、主宰が森野うさぎ氏であることと、執筆陣が(当時基準で)豪華(ふじたゆきひさ氏や豊島ゆーさく氏等)であること以外、よくわかんない内容でしたヽ(´ー`)ノなんというか、二次裏のいもげを同人誌にしたらこんなカンジかなーというカオス感というか。奥付には発行年月日載ってなかったんですが、たぶん89-90年ぐらい?

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その同人誌のふじたゆきひさ氏のマンガより。ソフビキットのススメ的な内容。ここでアニスが出てきたので元は取れました。ナビの女の子はヤンキー入ったモコちゃんかと思ったらそうではなく、トモコちゃんというそうです。
読んでたらレジンキャストキットよりソフビの方が、気泡埋め等もなく楽に作れるのかしら…と洗脳されかかったんですが、実際どうなんでしょう。当時ならともかく、ソフビだと経年劣化のせいで材質に問題出てそうな気がするんですが。イケるならヤフオクで即入手可能な、海洋堂のまめアニスでも買ってみようかなー。

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だらけの収穫もういっこ。
アニメV1989年1月号のクリエイターインタビュー。菊池氏回です。
ボーグマンOPのナイショ話、確かに前期と後期のOPのダストジードを見比べると全然似てませんよねヽ(´ー`)ノそれ云ったらリョウも微妙に似ないことになってますけど。
しかし根岸監督は、前述した菊池氏のアイデンティティであった「絵の変化」を受け入れられず、だからラストバトルで起用する気はなかったんでしょう。それを考えると、よくFOREVERは我慢したなあ。作画めちゃめちゃ頑張ってたし、全カット菊池氏でなければ出せなかった味なので、菊池氏で本当に良かったと思います。だけど根岸監督的にはもうコレジャナイ化してたんでしょうね。
当時の菊池氏は現場に「自分の絵の変化」を受け入れさせるスタイルだったのはゼオライマーで明らかですが、現場からしたらキャラ表との兼ね合いで頭を抱えることも多かったでしょう。ゼオライマー以外はキャラデで留まりがちだったのはそういうことだったのかしらと改めて思った次第。キャラデ以外はあえて介入しなかったというオーガンでのスタンスが、いちばん理想的だったのかも知れませんね。
…もしかしたら、ゼオライマーもオーガンも西井正典氏あっての成功じゃないかとかゲホゲホン。

では年末のご挨拶は次回にー。
posted by はらよしかず at 19:00| ボーグマン

2019年12月20日

【イベント開催記念】TVシリーズ34話感想。【私の名はダストジード!】

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イベントに合わせて「イヤミか貴様ッ!!!!!」(画像略)とツッコまれそうなことをやろうとしていたんですが、さすがに(シャレのつもりとはいえ)水を差す行為かと思い直したのと、プライベートでHPMPがガリガリ削られまくってモチベが上がらなくなったので、園田氏のイベント参加の報を受けてちょっと考えていた34話レビューに留めます。22日の上映ラインナップに入ってます。考えていたネタはイベント終了後にもうちょっと考慮して出力しようかと。

34話は云わずと知れたダストジード退場回。最終回直前と云うことで、残っている伏線の一斉処分が行われたエピソードです。破たんなくまとめ上げたという点では園田氏グッジョブですが、相当に根岸監督の意向と29話で現場から離脱した会川氏の(ダストジードに対する)残留思念のようなものも感じ、どこまで園田氏の意向が入っているのかは不明であります。

・妖魔の罠で脱出を阻まれたメモリーとシンジは、妖魔城化したメガロビルの更に奥の牢で囚われの身となってました。ところで人質ならメモリーひとりで充分なのに、なんでその餓鬼までご丁寧に連れてきたのか。捨てておけよ。ボーグマンホイホイにちょうどよかろフォフォフォ! ということか。
「校長先生はボクが守るよ!」シンジがその決意を通したことはあっただろうか。…ないな(適当)。シンジに関しては、スタッフの思い入れが裏目に出た気がして仕方ない。ボーグマンたちを慕う生徒代表なのは理解できるんですが、視聴者からしたらお前もうちょっと大人しくできんのかい、と苦虫を噛み潰したような顔にしかならんかったのでは。
・メモリーの前に、ただでさえフケ顔なのに(魔星剣を取られたのが原因らしく)ますます老けたメッシュ登場。もう和解は不可能というのに、昔の女に未練タラタラすぎる…。
・その未練が後にメモリーを救うことになりますが。
・それでメモリー庇ってるつもりかシンジ。正にお前じゃねえ座ってろ。まあラスボスを前に物おじしない姿勢は評価する。評価だけ。
・ダストジードはお前の弟のレミニスなのだーとメッシュに教えられたメモリーは信じません。レミニスは二年前にバルテクターの開発中に事故を起こして他界していたからです。

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宇宙開発用のバルテクター?


・二年前…二年前? ちょっと待って。レミニス死亡・メッシュの裏切りメモリー勧誘・メッシュのスペースブロック無双が同じ年に起きたってこと? ちょっと無理くね?(脚本の人そこm)
・子供扱いしないでくれよー(苦笑)かーらーのー、爆発そして即死。どんだけうっかり小僧だったのかレミニス。しかしメモリーの口調が幸せいっぱいのお姉ちゃんでちょっと辛い。
・アニメディアの記事にレミニスとリョウが似ていて、メモリーはリョウの中にレミニスを見ていたという設定があったので、園田氏的にはそれを意識していたのかしら。あの御仁は雑誌で出した設定をすぐ忘れる傾向にあったから信用度は低いですが。ウケ狙いで云っただけと思われる設定大杉問題。
・レミニスの墓前でメモリーを慰めたあの時点で、メッシュはもう裏切っていてレミニスの脳を密かにゲットしてたということかしら。うっわエゲツねえ。よくメモリーの前にのうのうを顔を出せたな。それとも最期に懺悔したかったというかぼそい意志があったんかしら。

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喪服の未亡人に迫るオッサンにしか見えない。


・ここにレミニスの脳があるじゃろ?→ここに戦闘用ボーグマンの素体があるじゃろ?→戦闘用ボーグマンの脳を取り出してレミニスの脳を入れるじゃろ?→はいダストジードの出来上がり!
・これ、4話でメモリーとダストジードがご対面してたせいで、こういうややこい設定になった気がする。まんまレミニスにした方が視聴者的に分かりやすいし髪の色がメモリーと同じなのも理屈が通ったし。モヤシな自分でしたが己を魔改造ライザップしてムキムキマッチョになりました! でもいけたはず。
・本性を出したヴェーダに虫けら呼ばわりされるメッシュ。打ち切り前の構想ではヴェーダはただのコメディリリーフで黒幕ではなかったそうですが、設定が変わったお陰で(塩谷さんの演技も相まって)不気味なキャラに仕上がったのは作品にとってプラスになったと思います。
・ヴェーダからしたらメッシュは妖魔王復活のための依り代でしかなかったということでしょうか。ねえでも何でわざわざメモリーにメッシュの本体を見せたの? 舐めプモードだったんでしょうけど、敵(ボーグマン)の「王将」を中枢まで招いたのは失策だったよねヽ(´ー`)ノ
・そして案の定ボーグマンホイホイにされるシンジであった。それだけならまだしも、鉢合わせたダストジードにあんたはメモリー先生の弟だよぅ! と云っちゃったせいで高いたかーい(腕もぐぞオラァ)される羽目に。
・まあゆっくり詳しい話を聞かせろと云っておきながら、目の前の子供が素直に説明したらそんな訳あるかいと怒るダストジードのクソコテぷりも大概ですけど。
・速攻で現場に到着したリョウから一撃喰らったダストジードは本気モードに。13話から引っ張ってきたリョウとダストジードの因縁の決着のはじまりで、結構互角に戦えてる辺り、リョウのパワーアップぶりが窺えます。
・ダストジードはやっぱりリョウに執着してたことが窺えるんですが、これが途中から暴走してみんなぬっ殺! となったのは妖魔パワーの介入のせいでしょう。メタ的には彼を倒すのはリョウではなく姉のメモリーでなくてはならない、という意図故に、リョウとの決着は有耶無耶にされてしまったと。
・ここがジリオンのJJvsリックスとの大きな違いで、ジリオンが敷いたテンプレに従うなら「妖魔最強の戦士ダストジード」は主人公たるリョウに倒されなくてはならないんですが、100%ノーザ産のリックスと違い、ダストジードは「レミニスの成れの果て」。弟のレミニスがダストジードの姿で犯した罪を罰するのは姉のメモリーの役目。ここは根岸監督がこだわった要素ではないかと推察しています。
・あとヘルシングの主題だった「化け物を倒すのはいつも人間」は、すべての物語に繋がるテーマということかも知れません。
リョウがダストジードと互角に戦えてる事実が俄かに信じ難いヴェーダは、その強さの理由をメモリーから問いただそうとします。ああ、だからメモリーを中枢に連れてきたのか…(好意的な解釈)。
・ボーグマンの強さ。それは心の力であり愛と勇気である。とメモリーは断言。そしてリョウには心強い仲間がいる、ということでチャックとアニス到着。リョウは2人が死んだと思い込んでいたのに、ナチュラルに受け入れてるのはどういうことなのか。尺がないからかそうですね。
・アニスは空振りましたが、ずっとダストジードに歯が立たなかったチャックは善戦。しかしダストジードにくれてやった一撃が、彼の中を巣食う妖魔パワー増大の引き金になった模様。
・チャックとアニスを瞬殺し、リョウもあっさり倒して彼の首を捉えたダストジード。この時点で、ダストジードはサイボーグ戦士以上の何かに変貌しつつあったのかも知れません。ほっておいたらヴェーダでも手に負えない異形になっていた可能性はあったんじゃないかしら。
・愛と勇気ってwwwウケルwwwと草生やすヴェーダを尻目に、メモリーはこの戦いを終わらせるべく、何とびっくり魔星剣を引っこ抜くという手段に。セキュリティガバガバだったからね。
・しかし生身の人間がやすやすと手にできるシロモノではなかったようで、魔星剣の力による衝撃がメモリーを襲ったその時、妖魔王の卵の中で赤ちゃんも夢を見るのかしらな状態だったメッシュが微かに反応。何故か魔星剣はメモリーの手中に収まるのでした。
・最後の最後で、メッシュが真に求めたものは妖魔王ではなくメモリーだったことが一瞬で伝わる、いい場面だったと思います。
・メモリーが破れかぶれでぶん投げた魔星剣をもろに喰らってあっさり退場なヴェーダどんくさくない…? この際にもヴェーダからよく分からん攻撃受けていたので、メモリーマジで体の中はボロボロだったのかも知れない。
・ここに至るまで、ボーグマンたちがメモリーの代わりに成してきた「妖魔殺し」をメモリーが自ら行った訳で、人ならざる者とは云え、彼女がヴェーダを手にかけざるを得なかったのは見ててきつい。

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覚悟ガンギマリの目ですねえ…。


・今まさにリョウを絞め殺そうとしていたダストジードの前に、アニスのソニックガンを構えたメモリー現る。メモリーを無視してリョウを即絞め殺すことは可能だったのに、ダストジードはリョウを放置してメモリーへと歩みを進めます。
・チャックとアニスを吹き飛ばしたように、遠距離からメモリーを殺すことはダストジードには造作もない。レミニスの名を連呼するメモリーに「私の名はダストジード。そのような名ではない」そう返しながらも決して彼女を攻撃しない。
無防備にメモリーへと歩んだのは誰の意志か。銃の腕前は素人以下のメモリーから放たれる光弾が当たるその瞬間まで。「私の名はダストジード」と幾度も口に出すのは誰の意志か。それは本当にメモリーに向けた否定なのか。
・もう山ちゃんがめっちゃ上手い。この場面、相当にダストジードに感情移入して演じられたと思います。
・そしてメモリーが放った光弾はダストジードの眉間を貫き、彼は「私の名はダストジード! 最高であり、無敵の戦士である!」と「ダストジード」であることを宣言して前のめりで斃れます。しかし、斃れる直前に動いた唇の軌跡。それは「ネエサン」。

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一瞬ニヤリと嗤うんですよね…


・レミニスでありダストジード、ダストジードでありレミニスという歪な存在だった「彼」はこうしてボーグマンの物語から退場します。ダストジードは打ち切りの影響をもろに喰らったキャラクターですが、凝縮されたが故のライブ感と山寺宏一とい希代の声優の熱演によって完成した、希少な「悪の華」だったんじゃないでしょうか。
・ここに至るまでのキャラメイクは会川氏あってのもので、会川氏が積み上げたものに園田氏が点睛したという印象です。実は園田氏はあまりダストジードメイン回って手掛けてらっしゃらないですからね。
・なもんで、園田回として見ると弱いですが、前述の通り最終回に向けての「溜め」としては申し分なく、根岸監督ががっつり主導権を握っていた状況だったからこそのこの仕事だったと思うと、もうちょっと早く根岸監督の権限がしっかりできていたら…とちょっと残念に思う訳ですけど、さすがに云いすぎですかね。
・クライマックスでジーン姉弟の因縁にシフトしてしまったせいで、取り残された格好になってしまったリョウが演出の村山氏はよっぽど気になっていたのか、これがラバレに繋がっていくんですよね。でもダストジードは妖魔パワーで暴走しかかっていたことを考えると、「宿敵」でしかないリョウはどうやっても敗北してたんじゃないですかね。

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アニスのお尻が妙に色っぽいカット。工藤作監あるある。
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posted by はらよしかず at 19:10| ボーグマン