2022年04月13日

【34周年】ねぎし監督のつぶやきまとめ。【初期構想】

34周年目にしてブルーレイBOX再発売など新たな動きが見えて、その後も期待したいボーグマンですが、そこで今年はねぎし氏の最近のボーグマン関連のつぶやきをまとめました。小ネタで採り上げようと思っていたらぽつぽつ増え出したので単独記事に変更。語りが増えたのはブルーレイBOXの布石だったのでしょうか。
ちなみに聞き手の「ぽろり春草」氏は、今度のブルーレイBOXブックレットのインタビュアーとして記事を組まれているそうです。TLによると、インタビューの直しで更なる暴露が盛り込まれていた…らしい…です(ゴクリ)。

IMG_0014.jpg


アニメ誌でも紹介された初期企画は夏目想太郎・チャック・アニスに蘭大竜&マーク・ロンド(シンジの原型?)の5人組のものですが、それらを考案した園田氏の合流前に、ねぎし氏が考案していた企画のひとつと思われます。ねぎし氏は「OAVのエッジを出したい」という理由で大畑&会川両氏を起用したそうなので、ハードSFな世界観を構想していらっしゃったのでしょうか。
原作の仮面ライダーは1回読んだっきりなのですが、リョウはもしかしたら一文字隼人みたいなキャラになっていたかも知れないのかしら。興味深いのはダストジードの設定。ラストバトルのオメガ的なラスボスをこの時点から考案されていたということでしょうか。

IMG_0012.jpg


火鷹が「究極の人類進化形」とどや顔でアニスに披露した、オメガの人外ぶりが納得いかなかったんですが、モチーフが0011(クモ型)-0012(家型)だったと解釈したら腑に落ちました。でも火鷹の理想郷ってヱヴァ破でサードインパクト大成功した世界じゃないの。あんなデカブツ共がキャッキャドスンドスンしている世界を夢見ていたンなら悪趣味やなあ(脚本の人そこm)。
13話は会川氏のこだわりが前面に出たエピと思っていましたが、ねぎし氏の「ボーグマン同士の戦い」へのこだわりを知ると、ねぎし氏にとっても13話は思い入れのあるエピだったのかなと。ただ、夏目想太郎の設定にこだわっていた園田氏にとっては微妙だったんじゃないかと思えたり。14話って意外と13話を意識した作りになってない(リョウがダストジードを倒せなかった悔恨が描かれてない等)んで。「早く右手を使いこなさないと子供たちを守れない」と前向きに焦るリョウは良いので、14話が駄作ということではないですよ。
ただ、リョウとチャックの「元宇宙飛行士」という設定を、園田氏がスルーしていた節は感じられます。会川氏に全振りしていたのかも知れませんが。

IMG_0010.jpg

IMG_0011.jpg


アニスのルーツが003ではなく、「バイオミック・ジェミー」のジェミーだったことが判明した貴重な証言。ねぎし氏はアニスを情報収集型ではなく、前線に出て戦うヒロインとしてイメージされていたんですね。ジリオンのアップル寄りだったんです?
しかし語られたアイディアを見る限り、リョウとアニスのロマンスはまったく考えてなかったんでしょう。そこは「仲間内の恋愛禁止」としていた園田氏と同様、男女を越えた戦友同士にしたかったと思われるので、恋愛要素はPの要望だったんでしょう。
テッカマンブレードのシリーズ構成を絶賛されているくだりに、いろいろ察せるものがあります。ボーグマンの時は聞き入れてもらえなかったんだろうなあ。ラストへの流れは、あれがなかったら本当に「アニスだけ」の作品に堕ちていたと思うので、そこは絶対に間違ってないと断言。裏を返すと、園田氏による終盤の構想は「作品を取り返さないとヤバイ」と危機感を覚える内容だったんでしょうねー。この辺りも、ブルーレイBOXのインタビューで何等かの暴露があるンではないかと期待しております(ゲス顔で)。

IMG_0080.jpg


こういう吐露をされていたぐらいですし。でも岸間氏はよき理解者だったんではないかと、VAP版ブルーレイBOXのインタビューを読むと思えます。玩具云々はさておいても、園田氏との相性が悪すぎたのが大きいンじゃないですかねえ。園田氏は剣狼にせよ川瀬監督とのコンビ作にせよ、「監督は自分の脚本を活かす良妻賢母たれ」というスタイルだったようですし。余談になりますが、最近ツイッターで発見した剣狼2OSTのライナーノーツに載っていた園田氏のコメントによると、2は羽原監督のアイディアを最優先したそうで、それが園田氏にとってフラストレーションになったことが窺えるコメントでした。だから3で暴発したのか…(ボソリ)。

という34周年記念更新でした。脳内で固めているSNS主体の企画があるので、もしかしたらブルーレイBOX発売まで更新止まるかも知れません。でも私的な告知と新情報があれば動きます。
posted by はらよしかず at 00:00| ボーグマン

2022年03月25日

【速報】コンプリート・BD-BOX 6/29発売【ミュージックビデオ円盤化】

お絵描きするので来月まで更新しませんと云った端から更新です。何度もこういうウソをついてその度に反省してましたが(本当か)、今回ばっかりはウソつきにならざるを得なかったのです。まあ黙ってこの動画を見なされ。



という訳で、フロンティアワークスさんからブルーレイBOXの廉価版発売のアナウンスが本日ありました。ディスク2枚なので画質はVAP版には劣るようですが、特典が豪華なのと、アマゾン&楽天ブックス先着順の予約特典(尼:ミニジャケット3種 楽:アクリルスタンド)がレアアイテム化待ったなしなので、円盤よりもそれらを本命にできる人向けの商品ですね。あと、VAP版にないミュージックビデオが収録されるのは大きいです。LD止まりだったFOREVERを高画質で拝めるんですよそれだけで最高じゃないですか(滂沱)。

以下はフロンティアワークス公式ページより抜粋。

【特典内容】
封入特典:
●特製ブックレット
・スタッフインタビュー(監督・根岸 弘×作画監督・松尾慎)
・歴代ビデオジャケットギャラリー

●メインキャラクター設定集(縮刷レプリカ版)
当時の作画スタッフ用にまとめられたキャラクター設定を縮刷複製冊子化

●原画修正集(縮刷レプリカ版)
当時の作画スタッフ用にまとめられた原画修正集を縮刷複製冊子化

映像特典:
●メモリアル・ミュージック・ビデオ「MADNIGHT☆GIGS!」
未DVD化だったミュージッククリップ集。TVシリーズ最終話のその後を描いた新作画映像も収録


LD-BOXもVAP版BD-BOXも、先ず「菊池通隆ありき」の仕様だったのに対して、今回は根岸監督主導の内容となっている模様。この時点でスルーするファンも多そうですが、おそらく「当時現場で奮闘したスタッフの軌跡」を特典の形で残す意図があるのではないかと。ラムネやウェブダイバーのBD-BOX等、根岸作品は近年フロンティアワークスからリリースされているので、根岸監督の意向が濃厚に反映された内容となっていることは間違いないでしょう。そういえばウェブダイバーはGYAOで配信開始されたそうで、dアニに来るのも時間の問題かしら。
もうスタッフインタビューが早く読みたくて泣きそうですが(やだキモイ)、何故13話のみ参加の松尾氏だけなのかはちょびっと疑問。それならせめて會川氏も交えて13話談義して欲しかったですが、ブックレットの編集スケジュールの都合ですかねえ。贅沢ですが、あともうひとりぐらい当時のメインスタッフを呼んで欲しかったです。大畑氏とか村山氏とか。
設定資料集はキャラのみなんですかね。ムービックの設定資料集+αなカンジかしら。原画修正集、わたしが先日奥で惨敗したあの原画集の再録だったりしませんかね。それならもう奥とメルカリを張り込まなくていいんですねーやったー! なんですが。

ここからは完全に私見。このブログを通じてお付き合い下さっている方々はお察しかと思いますが、もうめっちゃ私が得な特典内容です。円盤はおまけです偉い人には(略)。FOREVERはおまけで済まないけど。
わたしはどのジャンルでも公式至上主義で、ボーグマンの公式は園田氏でも菊池(麻宮)氏でもなく根岸監督という認識なので、ねぎし氏を中心にした商品なのが本当に嬉しいです。監督なのにLD-BOXでも存在がスルーされたりと冷遇されがちだったことを思うと、やっと「根岸監督のボーグマン」にスポットが当たるのか…と感慨深くなったり。それはそれとしてラストバトルはゆるしませんけど。
いや、ねぎし氏のアーカイブ事業はテッカマンブレード以降の作品が対象と勝手に思ってたので、今回のボーグマン商品化は本当に驚きました。ねぎし氏はビジネスマンなので、玩具アニメデビュー作のボーグマンに思い出はあっても商品としては厳しい目で見てると思ってたんですが、ワンチャンあると期待していいんですかね。

真面目な話、このBD-BOXの売れ行きにそのワンチャンがかかっているはずなので、投資と思って購入可能な方はぜひ前向きに検討していただきたい。業界というか、ボーグマンに更なる商品価値をねぎし氏に見出してもらう最初で最後の機会になるとわたしは思ってます。ラムネの再起動があれだけ盛り上がったのも、ねぎし氏がファンの反応をチェックして、動いていたからだと思うんですよ。ラムネがBD-BOX発売に留まらず、ファンミーティングやWEB小説とすそ野を広げられたのはねぎし氏の尽力の賜物でしたし、きっかけがあれば動いてくれる方だと信じてます。ボーグマンがラムネが敷いた道に続ける夢を、わたしが見続けるためにもお願いします(何て?)。わたしはもうぽちってますよアクリルスタンド楽しみだな!

しかし菊池氏がノータッチの企画とは思い切りましたなあ。しかもメインビジュアルに使われている版権イラストは、(画集のコメント等から)菊池氏にとって思うところが多かったことが窺える作品だし。過去の素材で充分と踏んだのかしら。この分だと園田氏も関わってないんでしょうなあ。仕方ないんですが、そこがボーグマンの寂しいところなんですよね。

そうそう、ラムネもウェブダイバーもそうでしたが、ねぎし氏は商品化のアナウンスと同時に、ツイッターで関連情報をこまめに呟かれるのでチェックをお勧めします。ウェブダイバーの対談記事みたいな企画ものも期待していいんでしょうか…(ドキドキ)。
posted by はらよしかず at 17:36| ボーグマン

2022年02月04日

【アニス誕】アニスの瞳に恋してる【ブログ7年目】

IMG_0392.JPG


あけおめも何もかもすっ飛ばしてアニス誕です。そして7年も何やってるんですかね(自嘲)。思うところあって今後ブログの更新は去年以上に遅くなると思います。その代わり考えていることがいくつかあるということで。きちんと形にできるといいなあ。
呪術廻戦0を観に行くのに忙諸事情で今年はマジでスルーする気でいたんですが、先日トップ画像のフィギュアを手に入れたのがきっかけで、ちょっと何かやれそうな気がしてテキストパッドを起動した次第です。

IMG_0395.JPG

商品説明によると目の塗装にかなり気を使われたそうで、TVシリーズの設定画に寄せている印象。


メルカリで出品されていた、海洋堂のソフビアニス(ボーメ氏原型)の完成品です。自立できるよう重さが調整されていたりと、モデラーさん独自の配慮がされた一品で、たまたまぽちれてラッキーでした。金欠だったからちょびっと悩んだけど。
時間ができたらちゃんと撮影して紹介させていただきます。いにしえのムサシヤの完成品ソフビアニスも宿題になってるので、いつになるかさっぱりですが(白目)。
ボーメ氏原型のTVシリーズコスのアニスは前々から超欲しくて、いつかキットを手に入れて自分でどうにかするしかないかしら…と淡い夢を抱いていましたが、これで作らなくて済みます(駄目人間)。でもまめアニスは手に入れて作ってみたい。

で、実は同時期に同じキットの完成品がヤフオクに出品されておりまして、モデラーさんの「アニスの目」の解釈の違いが面白かったので、今回話題にしてみようと思ったのでした。

2022-02-01.jpg

ヤフオク出品ver。目元に独自の艶を感じますね。


ツイッターだったか、アニスを制作中のモデラーさんの呟きで「アニスの目の情報」の入れ方の難しさに触れていたものがあったんですが、アニスはぱんつ以上に「目」にモデラー諸氏の思い入れが反映されるキャラではないかと思いました。

anice-cut4.jpg


このように、菊池氏もアニメージュのアニスの描き方講座で目の重要性を語っておられるので、当然と云えばその通りですが。

ここで菊池氏の作監&版権イラストから、アニスの「目」だけを見ていきます。画風の変遷については、今回の記事の主旨から外れかねないし資料の整理だけで一苦労になるので触れません。というか、変遷を追う「だけ」ならリョウかサイメビの方が分かりやすいと思ってます。リョウはアニス以上に変遷がすごいんじゃないですかね。

Dykecl7WwAAQGo8.jfif

nt-199804-2.jpg

nt-198805-2.jpg


初期から追っていくと、ハイライトの入れ方はあまり変わらないのですが(でも初期の方が丸っこいかな?)、瞳と白目の比率が少しずつ変化してる気がします。菊池氏の執筆時の手癖にも寄ると思いますが。

Dykecl5WsAMqqeE.jfif

anice-cut1.jpg

anice-sitajiki.jpg


前期OPと後期OPの(時期的な)違いは、下睫毛と瞳の接地でしょうか。前期OPや初期イラストだとくっついてますが、後期OPとこの時期のイラストだと離れていて、ボーメ氏の塗装だとこれらがベースになってる印象です。個人的にもこっちの方が好みですね。

C5AxlAsUcAAdKFH.jfif

かなり前についったのフォロワーさんからいただいたボーメ氏原型のアニス記事より。
ボーメ氏の癖と菊池キャラの相性の良さが存分に出てますね。


anice-poska1.jpg


TVシリーズ終了後だと、下睫毛と瞳が再びくっついていて、目じりがややシャープに。目の形が縦型の楕円から次第に台形(更には菱形)っぽくなっていくんですよね。
で、この後期OP〜ラバレ直前ぐらいの瞳から情報を抽出しているモデラーさんが多いんじゃないかと。「瞳と下睫毛がやや離れていて、なおかつハイライトがそれっぽい」これがめっちゃ難しいんじゃないでしょうか。

上記を前提に、現在出回っているアニス完成品を見ていきましょう。

IMG_0016.jpg


ムサシヤのソフビ完成品。見たまんま当時クオリティですが、それでも似せようという意気込みは感じます。瞼を二重に塗装するのはまだ難しかったんですかね。

DSC_0251.JPG


ふるプニ。どの時期のアニスに寄せようと思ったのかさっぱり分からない。こんなにまんまるお目々じゃないし。変身バンクの正面顔を参考にしたのは窺えますが。原型師は顔ではなく、TVシリーズのコスの再現にステータスを振ったのかなー。

DSC_0055.jpg


メガハウス。正直、初めてデコマス画像を見た際にニセコイの小野寺さんかと思いました。当時の菊池絵を再現するだけではなく、イマドキの「萌え」のエッセンスを垂らす試みを成したらニセコイっぽくなったんでしょうか。そもそもtkbを造詣していたら、それで(メインターゲットの)オッサンたちの夢は叶うんでしょ? と思われていたんだろうか…と邪推するのは悪でしょうか。フィギュアそのものは決して悪くないんですが、関係者にアニスのガチ勢がいなかったと思われても仕方ない愛のなさ。

anice-face2.jpg

発売当時に本館ブログに掲載した画像の再掲。ちょっと明度をいじりました。


みんなだいすきウェーブのビーチク。これ本当に完成度が飛び抜けています。正に最適解。原型の小川氏は世代ではなく当時の資料を元に制作したそうで、その過程でアニスにハマったんじゃないだろうか。仕事「だけ」でこれにたどり着いてたら奇跡だと思うんですが。前述の「下睫毛と瞳の間」のバランスと、ハイライトの入れ方が絶品。
で、ずっと情報が止まっているドスケベ水着は制作進んでるんでしょうか。そっちじゃなくTVシリーズコスverに変更してくれてもええんやで?(真剣)

インスタント更新になってすみません。しかしこれもう無理だろ…と思う位に脳内で要素が散らばってなかなかくっつかない状態から、何とか形にできたのでやればできたぞわたし! という気分。次回はらくがきのリハビリ状況か、また保留にしている小ネタ集の続きのどっちかです。
posted by はらよしかず at 21:59| ボーグマン

2021年12月07日

【チャック】サイボーグの俺が恋した特殊部隊のリーダーはお嬢様だった【美姫】

年寄りなのでイマドキのラノベやラブコメのタイトルの長さにいまだに馴染めません。

そんな訳でチャック×アニスだった前回から本題のチャック×美姫を語ってみようですが、以前ファントムスワット考察で語ったように、美姫は園田氏が想定してなかったヒロインであったことがアニメ誌等から窺えます。3話のフリッツ博士とアニスの会話から、ボーグマンチームのライバルチーム登場までは構想内にあったと思われますが、そのリーダーとチャックの恋愛関係までは考えてなかったのではないか。根岸監督も園田氏もやる気のなかった恋愛要素がひょっこり出てきた経緯は不明ですが、魔女っ娘シリーズやオレンジロードを手掛けた堀越Pの要望と推察しております。
この路線は岸間氏に合っていたのか、積極的にチャック×美姫(&リョウ×アニス)を描いたのに対して、園田氏は微妙な対応を見せておりました。園田氏がこだわったのはボーグマン3人によるバランスの取れた「男2人女1人」のチームで、美姫は彼らの関係を壊す存在として構えていた節があります。

miki-clm.jpg


再掲ですが、これらをアップした方が手っ取り早いので。
ホビージャパンの美姫フィギュア記事のコラム。美姫は「ミステリー」だったと強調していることから、最後まで彼女のキャラを掴めないままだったことが窺えます。美姫の基本設定を作ったのは他のスタッフで、「桂財閥のお嬢様」がファントムスワットのリーダーとなり、妖魔に立ち向かう理由等、細かい掘り下げまで誰も手が回らなかったんじゃないかと。コラム内でも「うまく使い切れなかった」と認めていらっしゃいますが、「自分の構想の外から入ってきた」ヒロインに対する当惑があったと読み取れます。いいキャラなのは認めていても、響リョウと同様、他のスタッフから押し付けられた「余所の子」という抵抗感を拭えなかったんじゃないかと。チャックとの恋に関する記述「ほのかな友情」に注目。

animmage-10-1.jpg


何度もアップしているアニメージュ10月号の園田氏コメント。既に美姫がチャックと接近しているのに、「アニスのリョウへの思慕に触れるとドロドロした三角関係になりかねない」とちぐはぐなことを主張しているのがずっと疑問だったんですが、もしかしたらこの記事の取材を受けた時点では、園田氏はチャックと美姫をくっつける気はなく、前述の「ほのかな友情」で留めるつもりでいたんじゃないかと気付きました。
園田氏がアニスに入れ込み始めた時期なので、チャックにとっていちばん大切な女の子は美姫ではなくアニスであり、それはリョウも然り。互いに手を出せないように牽制し合いつつ、アニスを大事にしていく(恋愛になりそうでならない)「正三角形」を通したかったんじゃないでしょうか。「クロノスの大逆襲」はいいサンプルで、ロム兄さんに熱烈アプローチしレイナと張り合ったりしたものの、最後はレイナと共に旅立つロムを見送ったミンぐらいのポジションで、園田氏は美姫を考えていたんじゃないですかねえ。

以降も園田氏はこの設定を前提に3人の関係を語っておられましたが、実際の本編にはほとんど反映されておりません。園田氏の中では公式でも、他スタッフが認知してない設定が多いのがボーグマンの困った点。しかし根岸監督も絶対に本編になかったセリフや設定をインタビューで語っていた罠。そういうとこだったんやぞ。

qts18 3.jpg

17話でお互い呼び捨てだったのに
18話では「チャックさん」「美姫さん」と妙にかしこまってるのに違和感。


園田氏がチャック×美姫に消極的だったとすると、18話で(17話できっちり描かれていたにも関わらず)美姫とボーグマンチームの距離を改めて強調した理由がしっくりいきます。美姫はチャックに魅かれていても、これ以上彼女がボーグマンチームに歩み寄ることはない、と2人の間に線を引く意図があったんでしょう。18話を採り上げる時にまた触れますが、後のライジンオーの長官、超者ライディーンのクロウに見られる「反主人公思想」の源流に美姫がいたとしたら、Aパートできっぱり否定したボーグマンチームを、Bパートであっさりスペースブロック内部に入れたのは不自然なんですよ。長官やクロウの柔軟性皆無な頑なさを見ると分かるんですが、園田氏流の手癖と云うかお約束なら、状況的に頼るべき援軍だったとしてもボーグマンチームを美姫は信念ゆえに拒絶して、結局ボーグマンチームが強引にスペースブロックに突入する流れになったはずなんですよ。
なもんで、Bパートは絵コンテで根岸監督がかなり手を加えたと思ってます。根岸監督は「メモリーの(母性ある)視点」を重視しておられたので、ボーグマンではあんまりギスギスした人間関係をやりたくなかったんじゃないかしら。
5話でマリモ先生→チャックを入れちゃったことも、園田氏的に枷になったのかも知れないですね。本編にマリモ先生と美姫の恋のさやあてまで入れる余裕はなかったでしょうし。いま考えると、一度は放置されたマリモ先生をコメディリリーフとして拾い上げて、バーガー署長とのロマンスに持って行ったのはミラクルだったんじゃないでしょうか。

vlcsnap-2021-12-07-17h15m20s101.jpg

vlcsnap-2021-12-07-17h15m46s678.jpg


しかし、園田氏は24話でチャック×美姫がほぼ成立する場面を入れてます。ただ、ここでもBパートは園田氏というより岸間氏の作風に近いので、本当に園田氏による恋愛描写だったのか疑問。やっぱり絵コンテで変えられた可能性を捨てきれない。
穿った見方をするなら、24話でも美姫がチャックに本気になっただけで、チャックは美姫を振ってアニスを選ぶ可能性を残していた。チャックとリョウをレイナにおけるロム&ガルディと同様、「アニスの幸せの為に無償で尽くす」存在として据えようとしていたんじゃないか、という疑念がちょーっとだけあったりします。クロ逆の最終回では大いなる使命を果たす為に想い人のルリィと別れたはずなのに、剣狼3でレイナ「姫」の為の存在になったブルージェットを見ると、流石にそんなことまでしなかったとは云い切れないンですよ。

2018-08-31-11.jpg


これも再掲のアニまかインタビュー。これに園田氏の美姫に対する本音が全部出ていると云っても過言ではない。自分の考えていた三角関係が美姫の登場で台無しになった、ということですよねコレ。いうてジリオンの三角関係も匂わせただけで恋の花が咲くまでに至っておらず、いいお手本になったはずなのにやっぱりジリオンを見てなかったんですかねえ。
結局「アニス姫を守る2人の(おバカな)騎士」が園田氏なりの落としどころで、チャック×美姫も肯定しきれなかったのはドラマCDから窺えます。あれとカセットブックのチャックと美姫はカップルというより、ドスケベ男とヒス女がてんやわんやしてるだけで微笑ましさも何もあったもんじゃない。ラストバトルのようなストレートにラブラブな2人は書けなかったでしょう。ラバレは尺の都合であれが限界だったと思いますけど。後年のライジンオーでは小さな恋のメロディがちまちま描かれていたのに対して、年頃の男女の恋愛描写は極力避ける傾向にありましたよね。

vlcsnap-2021-12-07-17h14m12s646.jpg

vlcsnap-2021-12-07-17h12m55s298.jpg


美姫の出番が比較的多かった岸間&会川脚本だと、終盤からしっかりとフラグを立てられておりました。岸間氏はファントムスワット初登場の15話から美姫を書くことが多く、チャックと美姫は岸間氏が育てたカップルと云っても差し支えないんじゃないでしょうか。
会川氏は23話&27話でチャック×美姫を書かれましたが、23話の美姫はクールに振る舞いながらも、ピンチをチャックに救われた時に見せた安堵の表情が可愛かったし、デートに誘えとチャックの背中を押すリョウが微笑ましかったりと、会川氏にもチャックと美姫のラブコメちっくなエピをやって欲しかったですねえ。会川氏はチャックへの思慕という分かりやすい要素があった分、美姫の方がアニスより動かしやすかったんじゃないかと思えます。個人的にも、ボーグマンと慣れ合う気はない、だけど頑固に拒絶もしないという、会川氏が据えた美姫のスタンスがいい塩梅な気がします。
27話で美姫を助けたいチャックを支えるアニス、しかしピンチに陥った2人を救う「ヒーロー」がリョウという構図がボーグマン3人と美姫の関係のピークで、これ以上は要らないぐらい完璧でこの流れを保持できていたら、チャックと美姫はもっと色気のあるオトナの関係になったかも知れないし、リョウとアニスの関係も踏み込んだものになったんじゃないですかねえ。28話でリセットされたのは本当に勿体ない。

結局園田氏の批判になるので、我ながらいい加減書き飽きててうんざりしてるんですいや本当に。でも「登場人物も世界もすべては愛するレイナの為に」を完璧にやり切った剣狼3も悪いんですよ。あんな内容でなければここまで疑うこともありませんでしたと断言。
しかしながら美姫は「チャックとの恋」をとっかかりにキャラメイクが成されていったヒロインなので、園田氏は恋愛要素に頼らず、「フリッツ博士の信念を継ぐ者」という角度から美姫を見ていたなら(コラムの「人間として妖魔と戦っている」を信じれば)、また違う魅力を見せた可能性はあるっちゃあるんですよね。しかし隊員たちは、一応いがみ合っている関係のボーグマンと隊長が親密な関係なのを容認してたんだろうか。必要なのは組織の力! とムキになってるのは美姫だけで、他の隊員は別に共闘してもいいんじゃないですかあの優男と一緒にいれますよ隊長?(ニチャァ)だったんだろうか。そういえば27話でファントムスワットを退場させて美姫だけを残したのは、根岸監督にとってもファントムスワットは扱いに困る設定だったんでしょうかね。玩具関係なかったし。

もっと本編の情報だけを拾い上げて、チャック×美姫の萌え語りをしようと思ってたんですが、実際やってみると難しくてこういうまとめ方になりました。考察のために情報を整理していくと、園田氏の主張の強さもさることながら、基盤たるファントムスワットの内部事情がほとんど描かれてない。その組織の中心である桂美姫の人物像がイマイチ見えないまま恋愛関係が進んでしまった。そのせいで何かが足りない、何かが惜しいカップルになってしまった面はあると思います。せめて17話みたいな2人がプライベートで逢うエピがもういっこぐらいあれば…そういえばリョウとアニス&メモリーは休日に何をしてるとか、そういうエピがほとんどなかったんですよね。

カップル事情と云えば、ジリオンではぬーたいぷで独自のカップル論(JJ&チャンプ以外×アップル、JJ×アディ等)を熱弁していた渡辺麻実氏も、アニメディア付録のSSでアップルを既婚者にしたりとスタンドプレーに走ってましたが、結局公式化までは至っておらず、渡辺氏もそこは弁えていたと思われます。園田氏は「原作者」を自負していただけに、逆に根岸監督に譲歩を迫る立場だったんでしょう。
果たして足並みをそろえるべきはどちらだったのか。ボーグマンを語っているとそこでモヤついて溜息が出てきちゃうんですよね。何度も云ってますが、園田氏がいたからこその魅力も間違いなくあるので。

年内は来年の抱負など、雑談でもう1回更新予定。予定です(強調)。
posted by はらよしかず at 17:57| ボーグマン

2021年10月29日

【チャック誕】チャック×アニスの可能性について考えてみた。

ここ2〜3年というもの、予告通りにコトを成してない気がしますがチャックの誕生日なので仕方ないです。当日の更新でもないですが気にしないでいただきたいお願いゆるして(懇願)。

いや実は去年と同様スルーするつもりでいたんですが(スマン)、ついったで呟いているうちにチャック×美姫で何かしら記事いっこ書けそうと思い、ネタを脳内で転がしていたらチャックとアニスの関係から見直さないと考察が行き詰まるので、書きながらふたりの関係を探ってみたいと思います。

チャックとアニスは、前番組のジリオンのチャンプとアップルと立ち位置が似ていながら、実際は彼らの関係を継承しきれませんでした。チャンプは中盤辺りからアップルへの思慕を垣間見せる場面が出てきますが、それは同時にアップルのJJへの思慕が窺えることでもあり、JJもまたアップルへの思慕を見せ始めていきます。
しかしジリオン3人組の場合、JJ→アップルをほのめかしたところで物語は終わります。チャンプもアップルもJJが大事だったので、JJを頂点にした(恋愛抜きの)三角関係で在り続けることをスタッフが優先したことが、後の関連書籍やアニメ誌の記事から窺えます。OAV「歌姫夜曲」でJJとアップルはいい雰囲気になりますが、スタッフが「恋するJJ」を描けなかったせいでいい雰囲気止まりになったと、アニメディア別冊の歌姫ガイドブックにありましたね。

ボーグマンチームもホワイトナッツの3人と同様、当初は恋愛御法度が前提にありました。しかしボーグマンでは、桂美姫という三角関係に入り込むヒロインが登場。恋愛解禁となりこれがホワイトナッツとの差別化の要素のひとつとなりました。
しかし園田氏はボーグマン3人の関係をアニスを頂点とした正三角形で想定していたようで、美姫はそのバランスを崩す存在として扱いを持て余していた節があります。その辺に触れる前に、チャックとアニスについて見直してみます。

vlcsnap-2021-10-29-18h57m21s832.jpg


1クール目はチャックのバギーの助手席に座るアニスという構図が多く、必然的に2人が共に行動している場面が多く見られました。特に園田脚本回では、2人のバギー内での交流が丁寧に描かれておりました。

vlcsnap-2021-10-29-18h48m06s056.jpg


5話。リョウを休ませて、チャックとアニスで遠足に行くことを決めた後「その方が(リョウがいない方が)良かったりして」という呟きをアニスに聞かれてしまう場面。冗談めかしてましたが、まだプレイボーイの設定が活きていた頃でもありますし、隙あらば…という空気を作っておく意図があったのかもと思ってみたり。

vlcsnap-2021-10-29-18h49m33s127.jpg


7話のこの場面も、教師ってのも大変だな、というぼやきに「文句云わないの」と窘めるアニスを見やるチャックの目線がちょっと意味深。単独行動になりがちなリョウよりも、チャックはアニスといる時間が長い分、彼女を異性として「観察」することが度々あったのかも知れません。

vlcsnap-2021-10-29-18h53m03s562.jpg

vlcsnap-2021-10-29-18h53m31s703.jpg


しかし、それが少し変わったのが8話。暴走ショベルカーに怒ったアニスにチャックが引き気味になり、アニスは自分の手にあまる女の子だという反応を見せます。

vlcsnap-2021-10-29-18h55m37s489.jpg


さらに11話で、小競り合いを始めたリョウとチャックを叱り飛ばすアニスで「男2人はアニスの尻に敷かれる」という構図が明確となり、園田氏の考えるボーグマン3人の関係のバランスは11話で完成し、これを崩す気はなかったと思えます。
一方で岸間脚本だとリョウとアニスの絡みが多く、会川氏は(1クール目の時点では)登場人物の横の繋がりよりも、キャラ単体の見せ場を重視してたように思えます。10話のチャックとか。
そして2クール目で美姫が登場。根岸監督&園田氏が主人公とヒロイン(リョウとアニス)の恋愛をやる気がなかったこともあってか、チャックと美姫は恋愛要素を一手に担うこととなり、チャックは園田脚本回で見られた意味深な態度をアニスに見せることはなくなりました。
個人的にですが、美姫登場以降の方が、チャックとアニスの微笑ましい場面が増えたように感じます。チャックに想い人ができてリョウとアニスが接近したことで、岸間&会川氏は3人の距離感を掴めてきたのではないかと推察。園田氏は逆にやりづらくなったと思いますが、この辺に関しては次回以降に。

vlcsnap-2021-10-29-18h59m43s560.jpg


1クール目以降で特に印象深いチャックとアニスと云えば、22話と27話でしょう。22話の橋の上でのやりとりは「先代」チャンプとアップルを想起させる軽妙さでとても良いのです。22話はボーグマンチーム3人個々の掘り下げと関係の見直し(アニス→リョウの発覚等)という点でも優良回なんですよね。

vlcsnap-2021-10-29-19h02m40s618.jpg

vlcsnap-2021-10-29-19h01m37s843.jpg


27話は非常に会川氏らしい熱血回。リョウが親友のチャックの嘘を見抜けなかったのは引っかかりますが、しかしそれでもアニスだけは見抜いていて、今の私でも貴方の目の代わりぐらいにはなれる、と彼をサポートする場面の熱さで許せてしまえます。会川氏なりの「男女の関係を超えた仲間」の描写を、ここでやっておきたかったんでしょう。そしてBパートでリョウとアニスの関係の進展を匂わせるというソツのなさよ。
なもんで、28話でお釈迦にされたのが本当に悔やまれる。27話-28話を連続して見ると、まだ作品に残っている可能性や熱量を最大限出そうとしていた会川氏と、アニスにのめり込んでいった園田氏の温度差が明瞭明確です。LD-BOXにインタビューによると、会川氏は当時かなり園田氏に食ってかかっていたそうなので、こういうところで噛み合わなかったのが原因なんじゃないかしら。知らんけど。
28話の制作時点ですべてが根岸監督の意向優先になってて、園田氏は梯子を外されてたように思えますけど、その分アニメ誌というカードを最大限使ったんでしょうなあ。実質園田ヒロインとしてのアニスのプロモーション冊子だったアニスにおまかせ! はその最たるものだったし。

そのアニまかの鷹森さんのインタビューによると、鷹森さん的にはアニスがチャックをどう思っているかは「よく分からないです」とのことで、本当に役作りにおける情報が不足してたキャラだったんでしょう。井上さんはラバレでチャックはリョウとアニスの兄貴分とコメントされていたので、チャックとアニスは「同じ体を持つ兄妹のような関係」でニアピンと結論。
しかしこれらは「チャックと美姫の恋」ありきで成り立ったので、ジリオンから続投したPの意向次第では、美姫がああいう立ち位置でなかったら(もしくは存在すらない)、リョウが朴念仁気味なのも考えると、チャンプの秘めた想いがチャックで報われる可能性は微レ存だったかも知れません。まあ没案のチャック×メモリーとどっこいなぐらいに低かったと思いますけど。

個人的な妄想ですが、チャックは美姫のことはおいてもアニスのことは好きだったと思いますし、アニスはチャックを選んでも充分幸せになったと思います。んでも、アニメディアのアニスインタビュー(おそらく園田氏はノータッチと思われる)での「チャックはひとりでも大丈夫だけど、リョウは自分がついてないと駄目」が真理で、ソツのないイケメン紳士よりも、子供っぽくてほっとけない「ヒーロー」のリョウが良かったんでしょう。22話で一緒に変身するところとか、実はノリも似ている同士ですし。何よりアニスは美姫と張り合ってでもチャックを振り向かせたいというタイプの娘さんじゃないですしねー。

という訳で滑り込みセーフ? の記事でした。次回は本題のチャック×美姫か、小ネタの続きのどっちかです。
posted by はらよしかず at 22:00| ボーグマン

2021年10月15日

2021年秋の小ネタ集・その1

もたもた更新準備している間に、上モノの小ネタが貯まってきたので順次紹介します。會川&ねぎし氏からぽろぽろ初耳情報が漏れ出てきてて、いっそ13話&最終回メインスタッフ中心のトークショーやってくれませんかね! 誰が行かなくてもわたしは行きますから! …ラムネの再起動も老師&ぽりりん不在だったんですよね。あっちもどういう事情でぽりりんがノータッチになってるのか。老師は察せるものがありますけど。

IMG_0375.jpg


ビデオベストセレクション特典。このリョウのポスターはアニス以上に見かけない(たまに外人出品者がボッタ価格で出してたかも知れませんが、英文の時点で目がスルーするので)シロモノだったんですが先日ヤフオクで発見。リョウは時々プレ値になることがあるので警戒してましたが、あっさり落札できました。カレンダー部分に痛みはあるものの、メインビジュアル部分は問題なく、経年劣化もほとんどありませんでした。

IMG_0377.jpg


大きいことはやはり良いことで、画集より迫力があって、細かい描き込みや塗りを堪能できました。アクリルガッシュってすごい画材だったんですねえ。アナログ塗り死ぬほど苦手だったので、当時から菊池氏の塗りの素晴らしさに溜息ついてました。アニスブームに振り回されることなく、リョウのヒーロー性(とバルテクター)にこだわり続けたことも、このイラストから窺えます。根底にはジリオンのJJの存在感への対抗心もあったのかしら。現場に関われなかった菊池氏が、ジリオンとの差別化及び異なる可能性を、版権イラストを通じて模索していたのかと思うとちょっとやるせないですね。結果論として、園田氏以上のジャイアンになりかねなかった菊池氏を関わらせなかった根岸監督の判断は正しかったと思ってますけど。

CamScanner-10-05-2021-16.jpg

サイズ大き目で




ツイッターより。會川氏とのやりとりですが、ボーグマンの絵コンテで参加されていた剣地尚氏が湯山邦彦氏だったことが判明して驚いた次第。確認したら担当回は25-26話と32話でした。根岸監督がインタビューで、後半で実力のあるスタッフを確保できるようになったと語られていたので、その流れで湯山氏のスケジュールを押さえることができたんでしょう。

vlcsnap-2021-10-15-21h01m44s708.jpg

25-26話全編に渡って
このダストジード、ノリノリである

しかし、どの回も湯山氏と分かって見てみたら面白い…とならない微妙回という罠。特に25-26話は怒涛の終盤のプロローグになるはずなのに、いろんな意味で「弱い」エピソードになっちゃってるんですよ。たぶん園田氏と根岸監督の平行線が極まった結果だと思うんですけど。園田氏はここいらで初期構想の「エスパーサイボーグ」的なオカルト路線に引き戻したかった、もしくは作品の主導権を手放す代わりに「アニス=第二のレイナ」がしやすいフォーマットを作ろうとしていた(私的にこっちの可能性の方が高い気が)のに対して、根岸監督は既に後半の構想を固めていてスタッフやPへの根回しも進めていた。そういった過渡期にあったせいで、面白い面白くない以前の、無難な形でしかまとめられなかった印象を受けます。
というか、ついったやトークショーでのファンとの受け答えを見る限り、園田氏はアイディアが二転三転して、何がしたいのかきちんと周囲に伝えられない、そういう気性の持ち主だったんじゃないかと思えます。知る限りでブレなかったのはアニス関連(歌手志望&リョウとはくっつかない)だけなんですよね。

vlcsnap-2021-10-15-20h58m22s101.jpg


32話の冒頭、監視カメラ越しに視線を交わし合う(?)メモリーとダストジードの構図は独特で面白いです。ただ、最後のリョウVSダストジード再戦の相撲みたいな押し合いはちょっとイケてなかった。湯山氏がボーグマンという作品を把握できないまま作業しちゃったのかしら。たらればですけど、湯山氏がボーグマンにメインで関わっていたら、園田氏を制御できたんじゃないかなあ。後年のアニポケではちゃんと仕事してたんだし。

vlcsnap-2021-10-15-21h03m14s301.jpg

巨神へ…ゴーレム妖魔とか、面白いシチュはあるのにどうして…


25-26話の微妙さは、岸間氏がバトル重視のエピが上手くなかったのも大きいんですよね。たぶんですけど、構成的にも本当は園田氏が手掛ける予定でまったく違う話をお考えになってたんじゃないかと思えますし。本編の妖魔サイドの動向をまとめてみたら、構成で何がしたかったのか、できなかったかが浮かんでくると思うので、そのうちやってみたいです。溜まってる宿題が片付いたらですが(遠い目)。
22話でフェルミナが詰んで妖魔三神官は全員リタイア、そして24話で「中ボス」ダストジードが本格的に動き始めた後の構成案が、園田氏と根岸監督で全然違ったんでしょう。ダストジードがどういう策を弄してくるのか、そもそもダストジードがどういう存在なのか(ジリオンのリックスのようにリョウに執着しているのか、メッシュの野望実現の為にすべてを捧げた部下なのか)、それまで保留してきた要素の整理をしようとしたら、「じゃあ妖魔ってなんなのさ?」から見直さないといけないことになり、結局2話分使っても不完全燃焼になったという気がします。根岸監督と園田氏では「妖魔」の解釈も違ってた(根岸監督はSF寄りのクリーチャー、園田氏は人知の及ばない謎の意識体)ので、二者の間に挟まれたであろう岸間氏を責めるのは気の毒なハナシではあります。
ただ、「妖魔界に引きずり込まれたリョウたちを助けるべく、子供たちと共に奮闘するメモリー」を見ている分には面白いので、「ボーグマンはメモリーの物語」としていた根岸監督の意向寄りに流れを持って行くことに意義があったのかも知れません。園田氏がもし根岸監督の介入を退けていたら、物語をどう盛り上げて〆る気でいたのか、それはそれで気になりますが、アニスが不自然に持ち上げられるだけの毒にも薬にもならない話になったんじゃないですかねえ。レイナという先例のせいで怖気しかしない。

話がそれましたが、26話の這いずって逃げるリョウが当時からどうにも嫌だったんですが(チャックとアニスを逃がすための囮になってるのでなりふり構っていられない、という姿を見せたかった意図は分かるんですが、「子供向けアニメの主人公」として見ると単純にみっともなくて受け入れられないんですよ)「外部スタッフ」としての湯山氏の解釈と思うと腑に落ちました。他の演出陣だと、リョウをああいう風に描かなかったと思うんですよ。
ファントムスワットの見せ方は面白いです。特に美姫とメモリーが歩み寄りを見せる描写はとても良い。美姫はフリッツ博士の遺志を継ぐ存在として、もっとメモリーと絡んで欲しかったですね。そこは24話の後で、メモリーに心身共にケアしてもらったりしてたんじゃないかという妄想で補っておく。

vlcsnap-2021-10-15-21h00m31s984.jpg

メモリーの描写には力が入ってます

qts26 3.jpg

モーリーからお守りをもらって、お礼を云うサンダーが素敵。ビバ山寺


やっぱり長くなりそうなので一度ここで切ります。次回は小ネタの続きか、チャック誕の予定。
posted by はらよしかず at 21:47| ボーグマン